日曜から月曜にかけては「働きたくない病」が出て、自分の中でイヤイヤしてしまうのですが、そんな時は吾妻ひでお著「失踪日記」を読んで元気をもらっています。
著者の吾妻ひでお先生は、週刊少年チャンピオンなどで活躍された漫画家で、SFやナンセンスギャグ、〇リコン漫画などのジャンルの作品を出された方です。私が子供の時分には「ななこSOS」というアニメがテレビでやっていました。
この「失踪日記」では、そんな売れっ子漫画家だった吾妻先生が徐々に精神的に行き詰って、スタジオから失踪してホームレスになったり、一度自宅に戻った後、再び失踪して配管工になったり、アルコール依存症になって入院したりと苦労する様子が赤裸々に描かれています。私が凄いと感じる点は、それらの人生の修羅場が冷静かつコミカルにまとめられていて、面白い漫画作品として成立しているところです。作中ではアルコール依存症から幻覚や鬱にも悩まされたとあるのですが、漫画の中の視点がとてもニュートラルのため読者も第三者としてすんなり状況に入っていけます。また、配管工時代やアルコール依存症の入院時代には個性的でアクの強い人物が沢山出てきてリアリティーがあり、非常に興味深いです。
つらくなって現実から逃げだしても、このくらい自我が保てているのはクリエイターとして凄い能力だと思いました。