いつも長期の休みには本をまとめ読みするのですが、今年は忙しくて1冊しか読めませんでした。その1冊が「日本海軍 失敗の本質」(戸高一成著、PHP新書)です。この本は、太平洋戦争における日本海軍のそれぞれの戦い(真珠湾奇襲、セイロン沖海戦、珊瑚海海戦、ミッドウェー海戦、ルンガ沖夜戦、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、沖縄特攻)に焦点をあてて、どこが判断の誤りだったのか、どうすればよかったのかを検証しています。負けに不思議の負けは無し、ということで、この反省を生かさなければなりません。
終戦から80年ということで、この時期は過去を知り、大いに考えるようにしております。何だか説教臭いのですが、自分も年をとったということでしょうか。
日本海軍に留まらず、日本軍全体の組織について緻密に社会科学的な分析した本として、「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」(戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎著)が挙げられます。本書は、まず第1章に失敗の分析としてノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄の6つの作戦を取り上げ、それぞれ組織学的に詳細な分析をしています。続く第2章では、6つの事例に共通してみられる日本軍の組織的特性や欠陥を抽出して整理しています。最後の第3章が大事で、ここでは失敗の本質が現在も改善されていないとの認識の下、日本軍の失敗が教えてくれる現代の課題の提示と解明が書かれています。この本で語られる、目的がはっきりしないとか、学習が欠けているとか、環境に過度に適応させすぎている、とかは耳が痛いですね。
戦争体験を沢山語られている漫画家として、偉大なる水木しげる先生が挙げられます。水木先生は太平洋戦争の激戦地であったラバウルに出征され、左腕を失うなどの壮絶な体験をされています。その体験をまとめた本が、「水木しげるのラバウル戦記」(ちくま文庫)です。本書は、出征当時に描かれていたデッサン(+戦後に加筆したもの)に文章を添えた本で、一兵士の記録として非常に興味深いです。のんびりとした口調で話は展開しますが、部隊の同僚がワニに食われたり、戦闘で命を落としたり、中身は過酷です。生き死にを分けるのは、ほんの些細なことなのだと実感しました。もう一冊、水木しげる先生の作品で「劇画ヒットラー」(ちくま文庫)を御紹介します。冒頭は収容所送りを恐れる民衆のシーンから始まるのですが、次の章で若き日の貧乏画家だったヒットラーの生活の場面に移ります。そのギャップに愕然とします。そこから政治の世界でいかにのし上がり、独裁者として君臨し、やがて国を破滅に導きます。最後は果てしない廃墟が続く背景をバックに「これがヒットラーがドイツ国民に送った「千年帝国」だったのである………」という台詞が書かれ、物語が閉じます。色々考えさせらる作品で、心に沁みます。













