新幹線のお供に新大阪駅の本屋で買った「地面師たち」ですが、最初から最後まで引き込まれっぱなしで、列車に乗っている間に一息で読んでしまいました。この作品は、Netflixのドラマの原作で、闇にうごめく地面師たちが大企業相手に不動産詐欺を仕掛けるサスペンスものです。
元ヤクザでグループのボスのハリソン山中と、身内が起こした事件で家族を失った拓海。この2人を中心に怪しげな詐欺師たちが結託して、あの手この手で相手の企業を欺いていきます。ついには泉岳寺の宗教施設の土地取引で、一流企業に巨額の詐欺事件を仕掛けます…ネタバレになると申し訳ないので、これ以上はあらすじは書きません。実際に読んでいただければと思います。とにかくアクの強いキャラクターが次々と登場して、それらが作中で生き生きと悪事を働くさまが清々しささえ感じさせます。特にハリソン山中の頭のネジがぶっ飛んだ言動が強烈なインパクトを受けました。まさか最後がああなるとは。
この作品はモチーフになる実際の詐欺事件があるそうで、それが東京・五反田で廃旅館「海喜館」の土地売買に絡んで積水ハウスが騙された事件だそうです。本作は、それをベースに濃い~人物を詐欺師側にも企業側にも捜査する警察側にも次々と入れ込んで、見事な活劇になっています。
途中、昼寝することも、富士山をみることも忘れて没頭して読んでしまいました。