以前にも書きましたが、仕事中は良く落語を聞きっぱなしにして文章を書いたりしております。三代目・古今亭志ん朝さんの火焔太鼓も良く聞く演目の一つです。話の途中で太鼓の代金である300両を50両ずつ渡すシーンがあるのですが、台詞の間といい、テンポといい、絶品だと思います。
火焔太鼓
あらすじ:
主人公は、古道具屋の甚兵衛さん。ちょっと呑気な人でいつも損ばかりしており、気の強いかみさんの尻にしかれている。
ある日、甚兵衛さんが市にいって古くて汚い太鼓を安く仕入れてくるが、かみさんに見せると、そんなものは売れやしないと叱られてしまう。ところが仕入れた太鼓を店先で埃を払っていると、不思議なことに自然と音が鳴りだした。その音をたまたま近くを籠で通行していたお殿様がお聞きになり、お付きの者からどのような太鼓か見たいから屋敷にもってくるように伝えられる。それを聞いて甚兵衛さんは大層喜ぶが、かみさんはこんな汚い太鼓を見せたら先方の怒りを買って屋敷で折檻されるだろうと脅かす。
甚兵衛さんがお殿様の屋敷に太鼓を持参して、ビクビクしながら太鼓を差し出すと、お殿様はこの太鼓は火焔太鼓というこの世に2つとないもので、是非買い受けたいと願いでる。お殿様の家臣とのやり取りの末、300両で話がまとまるが、甚兵衛さんはあまりの高額に気が動転してしまう。
300両を受け取った甚兵衛さんは家に飛んで帰り、かみさんに事の顛末を告げる。かみさんは最初は信用していなかったが、甚兵衛さんから300両を見せられ腰を抜かさんばかりに動転する。興奮した二人が次に何を仕入れるかという話になり、今回上手く行ったのは音が出るものだったからなので、次は半鐘にしようと甚兵衛さんが提案するが、かみさんから「半鐘はいけないよ、おじゃんになるから」と返される。
調べた言葉:
「初午(はつうま)」:2月の最初の午(うま)の日。全国のお稲荷さんでお祭りがあった。
甚兵衛さんがおかみさんから「太鼓というのは際物といってね、お正月だとか初午前だとかしか売れないんだよ!お前さんにあつかえるかい!」と叱られる。