お休みなので気楽なものを読もうと思い、「大槻ケンヂが語る江戸川乱歩」と「悪魔の紋章」を読み返しました。江戸川乱歩は昔から好きな作家で、立教大学が管理している、池袋の住居跡まで訪れるほどです(その模様はこちらをご覧ください)。
好きな乱歩の作品のパターンは2つあって、作家のむき出しの感性・欲情が出たような「猟奇的であぶない」短編~中編と、パターン化されている「笑って楽しめる」長編です。そんな楽しみ方を明快に教えてくれたのが「大槻ケンヂが語る江戸川乱歩」(江戸川乱歩、大槻ケンヂ著、角川文庫)です。大槻ケンヂさんは言わずと知れたロックミュージシャンですが、乱歩作品に造詣が深く、文中にも乱歩愛があふれています。その中で、乱歩作品の荒唐無稽さをもっとツッコミを入れて楽しんでよいと指摘しています。これを読んで、今までモヤモヤしていたものがスッキリしました。
同じような指摘は「悪魔の紋章」(江戸川乱歩著、創元推理文庫)のあとがきで廣澤吉泰さんも指摘されていました。「悪魔の紋章」もこれまでの長編に見られる展開がふんだんに盛り込まれていて、ある種、安心して読める作品です。復讐のために仇敵の前で先祖の悪行を演劇で見せるシーンがあるなど、ツッコミどころ満載です。個人的には「魔術師」の毒味を薄くしたような作品だと思いました。