CSのアニマックスで連続放送されていたので、「忘却バッテリー」の第1期アニメ(全12話)を見ました。この漫画は本屋さんで何度も表紙だけは見ていたのですが、内容は知りませんでした。今回の連続放送で初めて見て、とても面白いと思いました。
この物語は、中学硬式野球の宝谷(ほうや)シニアで全国にその名を轟かせた剛腕投手、清峰葉流火(きよみね・はるか)と常に冷静沈着で智将と呼ばれた強肩強打の捕手、要圭(かなめ・けい)の天才バッテリーが主人公です。彼らは中学時代に無双状態で、全国の野球強豪高校からのスカウトが引く手あまたでしたが、要が記憶喪失になり、野球に関する記憶の一切を失った上におちゃらけた性格になっていまいます。そして清峰と要は、スカウトをすべて断り、野球部の無い東京都立小手指高校(こてさしこうこう)に進学します。一方、小手指高校には、かつて野球に身を捧げたものの、清峰‐要の天才バッテリーに心をへし折られ、野球を諦めてしまった山田太郎、藤堂葵、千早瞬平も進学していました。彼らは共に出来たばかりの野球部に入部し、それぞれの困難や心の傷を乗り越えて再び野球にのめり込んでいく、というストーリーです。
私の個人的な分類ですが、スポーツ漫画だと、リアルな技術に関する蘊蓄系か、スポーツを題材にしているがバトルが中心のファンタジー系、キャラクターの心理面を重視する物語重視系、選手ではなく裏方さんに焦点を当てる系、などがあると思っているのですが、忘却バッテリーは物語重視系だと思いました。例えば、ショートを守る藤堂葵選手は、かつて自分の送球エラーが原因で試合に負けてしまい、それ以降は送球イップスを抱えていました。それが、野球を再開するにあたり、自分のイップスと正面から向き合い、周囲の先輩や家族、仲間がやさしく見守られる中で少しずつ立ち直っていくという様が、とても丁寧に物語に織り込まれていて、見ていてほっこりしました。こういう「強い選手が、一旦弱くなって、そこから少し違った強さを身に着けて再び成長する」という構図が新しいと思いました。
あと、東京都板橋区成増に10年間も住んでいた私からすると、物語に出てくる宝谷(元ネタはおそらく保谷)、大泉、小手指、富士見、などの西武池袋線沿線の地名が沢山でてきて親近感がありました。遊びにいく先が吉祥寺というのも良いです。第2シーズンが出たら、また見ようと思いました。