2024年8月31日土曜日

三代目・古今亭志ん朝の「お化け長屋」を聞きながら

 噺のマクラは「四つごろに出る幽霊は前座なり」という川柳から始まります。江戸時代は夏になると夏枯れを防ぐために寄席で怪談話をよくやって、好評だったそうです。怪談話には幽霊がつきもので、前座の連中が幽霊に化けて登場したそうです。その時刻が大体四つ(午後十時)ということで、当時の寄席は随分遅くまでやっていたとのことです。


あらすじ:

長屋というものは満室になっていると家主が強気になってくるので、何軒か空いていた方が借主には都合が良いのだそうです。

ある店子さん(名前が出てこないので店子A)が菜漬けの樽を買ってきたものの、家が狭くて置き場が無い。そこで隣の空き家に置いておいたところ、家主が目ざとく見つけて散々に小言を言ってきた。叱られた店子Aは、悔しくて何とか仕返ししてやろうと思うのだが、相手が家主なので妙案が浮かばない。そこで長屋の古だぬき、杢兵衛(もくべえ)さんに相談に行く。杢兵衛は一計を案じて、次に借り手を希望する者が長屋に訪ねてきたら、家主は遠方にいるため杢兵衛が差配として長屋のことを万事任されていると嘘をついて、自分のところに寄こすようにと告げる。

早速、借りたいという男が杢兵衛のところへやってくる。杢兵衛はひとしきり部屋の説明をしたあと、敷金も家賃も払いたくなければ払わなくてよいと妙なことを言い出す。男が訝しく思い、理由を聞くと急に声を潜めて近くに来るように言う。杢兵衛は「本当は言いたく無いんだが」と勿体ぶってから怪談話を始める。

曰く、今を遡ること三年前、あの部屋には年頃二十八、九になる後家さん(以降、おかみさん)が独りで住んでいた。おかみさんは働き者で、気立ても良く、おまけに器量よしだったので周りの男たちが放っておかない。方々から言い寄られるも、男は先の亭主で懲り懲りでございます、と言って断る誠に物堅い人だった。ある風の吹く晩におかみさんの部屋に泥棒が入った。泥棒は荷物をこしらえて逃げようとするのだが、年増女の寝乱れ姿をみて妙な了見を起こしてしまった。泥棒がおかみさんに襲い掛かろうとすると、おかみさんが気づいて悲鳴をあげる。泥棒は怖くなって匕首でおかみさんを刺して逃げてしまう。あくる朝、いつもは朝の早いおかみさんが何時まで経っても起きてこないので長屋の皆で部屋に入ってみると、辺り一面が血の海になっており、その中でおかみさんが息絶えていた。その後、皆でねんごろに弔いをして、畳を変え、障子を張り替えると、次から次へと新しい借り手がやってくる。ところが長い人でも三日で出て行ってしまう。長屋の皆は原因がわからず困惑するのだが誰もわからない。ようやく最後に出て行った人から聞きだして驚いた。入居して一日二日は何でもない。しかし雨がしとしと降るような夜になると、遠寺の鐘がゴーンと陰にこもった音が鳴り、それに呼応して独りでに仏壇のリンがチーンと鳴る。すると障子に女の髪の毛が当たる音がサラサラと聞こえてきて、障子がスーッと開き、亡くなったおかみさんの幽霊が枕元にやってくる。そして顔を覗き込んでケタケタと笑いだす。

ここまで話すと借り手の男は怖がりらしく、もうわかったからやめてくれと言い出す。杢兵衛はダメ押しとばかりに、幽霊が冷たい手で撫でるという台詞に合わせて濡れ雑巾で借り手の男のさっと顔をなでると、男は大声を出して飛び出して逃げてしまった。余りに慌てていたので、下駄もがま口も置いていってしまった。杢兵衛と店子Aは、男の残した下駄とがま口をせしめて大喜び。次もこの手で行こうと示し合わせる。

次に来たのが威勢の良い職人風の男。杢兵衛は同じ手順で例の怪談話を始めるのだが、全く怖がらない。それどころか話の合間に茶々を入れたり、逆に杢兵衛を脅かしたりして散々いじり倒す始末。最後に濡れ雑巾で男の顔をなでようとするも体をかわされ、逆に雑巾を取られて杢兵衛の方が顔をこすられてしまう。男はすぐに引越してくるから掃除をしておけと言い残して帰ってしまう。

店子Aが心配そう杢兵衛の下にやってきて、どうなったかと問う。杢兵衛は度胸のいいやつで何をやっても驚かないと嘆く。「じゃあ、何にも置いていかなかったのかい?」と聞いて、杢兵衛が応える。

「何にも置いてきゃしないよ。あっ、ここにあったがま口持ってっちゃった」


2024年8月30日金曜日

三代目・古今亭志ん朝の「猫の皿」を聞きながら

 猫の皿も好きな噺の一つです。先日紹介した鰻の幇間(うなぎのたいこ)と同じように、主人公が一儲けしてやろうと画策するも、実は相手がその上を行くパターンの噺です。茶店の親爺のすっとぼけた感じが良い味を出していると思います。鰻の幇間が「野だいこ狩り」ならば、猫の皿は「旗師狩り」でしょうか。


あらすじ:

江戸時代、天下泰平の世が続いてくると皆が習い事に夢中になった。江戸も末期になった頃には、武士でも三味線が弾けるなんて人がごろごろいたそうだ。

ひと頃、茶の湯が流行したことがあり、皆がこぞって珍しい茶器を求めるのだが、そういう逸品は中々あるものではない。そのような折、地方に出向いて珍しい骨董品を見つけては、言葉巧みに安く買いあげて、江戸で高く売る目利きの商売人が現れた。こういう連中は、高価な品物を安く買いはたいてくるので「旗師(はたし)」と呼ばれていた。

ある旗師が地方に買い出しに出かけたのだが、足を棒にして歩き回っても何も良品が得られない。疲れ果てて茶店に立ち寄り、茶を注文して座っていると、目の前で猫が皿にのった餌を食べている。それを見ている旗師の目の色が変わってきた。餌を食べ終わって猫がどこかへ行ってしまうと、旗師は皿をしげしげと眺める。その皿は「高麗の梅鉢(こうらいのうめばち)」と言って、江戸では何百両で売れるような高価な皿だった。旗師は茶店の主人であるお爺さんがこの皿の価値を知らないと思い、言葉巧みに安く皿をふんだくろうと画策する。

まず、旗師は本当は猫が嫌いなのだが、茶店の猫を膝に載せたり、懐に入れたりして可愛がるふりをして、自分は猫が大好きで、この猫もなついているとアピールする。そしてこの猫を三両で譲ってくれと主人に申し出る。主人はためらうのだが、渋々了承する。続けて、旗師は猫に飯を食わせるためには食べ慣れた皿(=高麗の梅鉢)が良いから、その皿もついでに譲ってくれと申し出る。主人はそれならばもっと良い御椀があると言い、譲ってくれない。旗師が尚も食い下がると、ニヤリとして、「この皿は見た目は汚いが、高麗の梅鉢と申しまして江戸では何百両で売れる品だから勘弁してほしい」と返す。

旗師は主人が皿の事を知っているとわかり、ガッカリしてしまう。さらに懐に入れた猫には小便をひっかけられて引っかかれる始末。落胆した旗師が「爺さん、何だってこの皿で猫に飯を食わせているんだい」と問うと、主人が返す。

「こうしておりますとな。時々猫が三両で売れますんで」

2024年8月29日木曜日

三代目・古今亭志ん朝の「たが屋」を聞きながら

たが屋はシンプルな短い噺です。後半は派手なチャンバラが威勢よく展開し、一番盛り上がったところで綺麗に終わると思います。たが屋が啖呵を切るシーンがあるのですが、江戸弁で早口にまくしたてる場面がスーッとして気持ちが良いです。


あらすじ:

花火の掛け声には、玉屋(たまや)と鍵屋(かぎや)の二種類があるが、これはどちらも江戸時代に花火を作っていた店の屋号である。しかし玉屋の声は頻繁にかかるのに、鍵屋の声は中々かからない。玉屋は元々鍵屋にいたお職人が独立して出した店で、のちに失火を出してしまいお取り潰しになった。にもかかわらず玉屋の声ばかりかかるのは、呼びやすいからだろうか。川柳にも「橋の上、玉屋、玉屋の声ばかり。なぜに鍵屋と言わぬ情無し(錠無し)」というのがあり、これは昔からだったようである。

現在の隅田川の花火大会の下は、旧暦の五月二十八日に行われた両国の川開きの花火大会だった。川開きの日には花火を見ようと両国橋の上は大勢の人でごった返していた。そこへ桶の箍(たが)を作る職人、たが屋が仕事帰りに通りかかる。家に帰るためには両国橋を渡ると近いため、花火見物の客の間を強引に通り抜けようとする。時を同じくして、馬に乗ったお殿様がお供の侍を三人連れて向こうから渡ってくる。たが屋は人に押されたはずみでお殿様の前に転び出た。さらに転んだ弾みで道具箱の中の箍がはじけて、馬上のお殿様の笠を弾き飛ばしてしまう。周りの町人はその様子をみて笑い出し、お殿様はカンカンに怒り出す。たが屋は慌てて平謝りに謝るのだが、お殿様は手打ちにすると息巻いている。こうなるとたが屋も開き直り、切れるものなら切ってみろと啖呵を切る。それを聞いて、三人の侍は刀を抜いてたが屋に襲い掛かるのだが、喧嘩慣れしているたが屋は慌てない。一人目の侍から刀を奪って切り倒し、二人目はかがんで相手の腹をついて倒した。三人目の侍は突いてくる時に体をかわして切り倒した。残されたお殿様は馬を降りて、槍を抜いてゆっくりとたが屋に向かってくる。流石にこれまでの侍とは違うぞと周囲の町人がお殿様にモノを投げつけて、たが屋の助太刀をする。お殿様は狙いすまして槍でたが屋を突こうとするのだが、たが屋にかわされ、槍の先を切り落とされてしまう。慌てて刀を抜こうと手をかけた刹那、たが屋がお殿様の首を刀で切り落とす。お殿様の首が中天高く飛ぶ。見ていた見物人が声をそろえて言う。

「た~が屋~」

2024年8月28日水曜日

三代目・古今亭志ん朝の「お見立て」を聞きながら

 「お見立て」は「五人廻し」と同じく喜瀬川花魁が活躍する演目です。登場人物も3人だけのシンプルな噺で、聞きやすくて笑えます。単純かつ一本気の杢兵衛と我儘いっぱいの喜瀬川。そして間に挟まれて苦労しつつも、どこか飄々とした喜助の絡みがとても面白いです。


あらすじ:

遊びの本場は吉原で、他とは全然違うそうです。妓楼には大見世(おおみせ)、中見世(ちゅうみせ)、小見世(こみせ)と三種類があるのだが、最も面白いのは中見世だそうです。通りに面した座敷は張見世(はりみせ)とよばれる格子張りになっており、外から中から見えるようになっている。そこには遊女たちが居並んで座っており、男たちは格子越しに遊女を見て相手を決めて店に上がる。店に入ると若い衆から「どの子をお見立てになりますか」と聞かれるので、好みの遊女を指名する。

今回の登場人物は、「五人廻し」でも出てきた、喜瀬川(きせがわ)花魁となじみ客で田舎者の金持ち・杢兵衛(もくべえ)、そして店の若い衆の喜助の3人。杢兵衛は喜瀬川に惚れているが、喜瀬川は杢兵衛を適当にあしらいつつ口から出まかせの結婚の約束などをしている。

ある時、杢兵衛が店に来ると、喜瀬川が顔も見たくないから出たくないと駄々をこねる。喜助は、杢兵衛を店に上げるときに「花魁がお待ちかねですよ」と世辞を言ってしまった手前、少しでも顔を見せてほしいと頼むのだが、喜瀬川が絶対に嫌だと譲らない。挙句に、自分は病気で入院していて店にはいないと杢兵衛に伝えて帰ってもらうようにと命じる。喜助は渋々承諾し、杢兵衛に伝えるのだが、それならば見舞いに行きたいと引き下がらない。喜助は咄嗟に花魁が入院した時に客が見舞いに行くのは御法度だと出まかせを言って乗り切ろうとするのだが、それでは自分は喜瀬川の兄だという証明書を御内所に書いてもらうようにと頼んで来いと杢兵衛が喜助に詰め寄る。弱った喜助は喜瀬川に泣きつくと、今度は実は喜瀬川は既に死んでおり、もう会うことはできないと伝えろと無茶を言う。喜助は、最初花魁がお待ちかねですよと言い、二度目には入院していると言い、三度目には亡くなったと言うのは流石に無理だと返すが、結局は喜瀬川に押し切られてしまう。喜助は、ウソ泣きをして杢兵衛に喜瀬川が死んだことを伝えると、真に受けた杢兵衛が今度は墓参りに行きたいと言い出す。寺はどこだと杢兵衛が詰め寄るので、喜助がどこにしようか思案していると、山谷かと言われたのでついそうだと答えてしまう。山谷なら近いから案内しろと杢兵衛に言われ、大いに弱ってしまう。再度喜瀬川に相談すると、適当な墓を自分の墓だと偽って大量の線香の煙と大量の花でカモフラージュして、とっとと済ませてしまうように命じる。

喜助は杢兵衛を山谷の適当な寺に連れて行き、なるべく新しい墓をみつけて喜瀬川の墓だと偽り、線香と花でごまかそうとする。しかし杢兵衛にうっかり墓碑銘を読まれてしまい、違うことがばれてしまう。その後も適当な墓へ連れて行くのだが、もはや杢兵衛は疑り深くなり騙されてくれない。次々と違う墓に案内されて、業を煮やした杢兵衛が喜瀬川の本当の墓はどれだと問い詰めると喜助が返す。

「これだけ沢山の墓がありますので、よろしいのをお見立て願います。」

2024年8月25日日曜日

三代目・古今亭志ん朝の「五人廻し(ごにんまわし)」を聞きながら

志ん朝の「五人廻し」も大好きな演目です。7人もの登場人物の演じ分け、軽妙かつハイテンポの話の流れ、とても見事だと思います。この演目の登場人物のうち、喜助・喜瀬川・杢兵衛(もくべえ)の三人は、「お見立て」という別の演目にも出てきます。また、喜瀬川花魁は「三枚起請」でも登場します。どちらも大変面白いです。


あらすじ:

「女郎買い、振られて帰る果報者」という川柳がある。若いうちに遊郭でモテてしまうと、お金の工面などでいずれ身を持ち崩してしまうからモテない方が良いんだ、という意味なのだが、やはりモテたいのが男の性である。関東の遊郭には「廻し」という制度があり、一人の花魁が一晩で複数の客の相手をする。廻しの客にはそれ専用の部屋があてがわれるのだが、その部屋は布団しか置いていない極めて簡素なもので、客は花魁が来るまで夜中まで待たされることがしばしばだった。しかも花魁のわがままで、結局来てもらえないこともあり、しばしば揉め事になる。その仲裁をするのが、女郎屋の若い者であり、花魁と客の板挟みにあって日々苦労が絶えない。この噺の登場人物は、喜瀬川という花魁と、廻し部屋に来た五人の客、そして花魁と客の間をとりもつ若い者の喜助の合計7人。

一人目の客は期待に胸を膨らませて待つのだが、一向に花魁が現れない。仕方が無いので目を開けていびきをかいて寝たふりをしていると、花魁を探して喜助が現れる。不機嫌になった客が喜助を呼び止め、花魁が来ないのなら代金(玉、ぎょく)を返せと迫る。喜助は、それは、廓(くるわ)の法、すなわち廓法(かくほう)で禁じられているのでダメだと突っぱねる。カチンときた客が、「廓法だと、こちとら三つの年から大門くぐってるんだ!吉原の事に関しては知らないことはないぞ」と吉原の由来から女郎の出自、おでん屋のネタから住み着いている犬のふんまで一気にまくしたてる。しまいには「塩をぶっかけて頭からかじるぞ」と悪態をつき、喜助は這う這うの体で部屋をでる。

すると次の間の客から呼び止められ、部屋へ入るといかにも田舎者の客が畳を上げて何かを探している様子。曰く、「今日買った、あまっこが見当たらない」と冗談とも本気ともわからないことを言う。喜助がもてなすも「あまっこが来ないなら玉を返せ!返さないと肥えたごを担いできて頭からぶっかけるぞ」と怒鳴りつけるので、また這う這うの体で部屋を出る。

部屋を出ると「ご廊下をご通行の君」と呼び止められる。もはや悪い予感しかし無いのだが喜助が中へ入ると、何の騒ぎだと聞くので、客に玉を返せと迫られたと話す。すると「玉を返せというのはいけない、男が口にしていい言の葉ではない、昔から傾城傾国(けいせいけいこく)に罪なし、通うまろうどに罪あり、と言う」と一見物わかりの良い様子。しかし、喜助に背中を見せてほしいを言うので、何故かと聞くと、ここに真っ赤に焼けた火箸があるので名前を書いてあげようと物騒なことを言い出す。喜助はびっくりして部屋を飛び出す。

廊下にでると、別の部屋から「そこの小使い!」と声がかかる。部屋へ入ると「何歳に相成る?」と聞くので「四十六歳に相成ります」と答えると、「男子ともあろう者が、四十六にもなって、客と娼妓と同衾するを媒介して何が面白い?意志薄弱からして、かかる巷の賤業夫に身をやつし、耳に淫声を聴き、目に醜態を見る。今日を無念夢想、空空寂寂と暮らしていて今更両親を怨むな」と、説教をしてくる。喜助は御意見ありがたいが御用件はと聞くと、「ここに枕が二つある。一つはむろん我が輩が使用することはわかる。しかしもう一つは誰が使うのか?」と詰問する。そのうえ、四隣沈沈(しりんちんちん)、閨中寂寞(けいちゅうせきばく)、人跡途絶え(じんせきとだえ)、闃(げき)として声無きはちと心細い!と堂々と泣き言をいう。さらに玉を返さないと、上京している故郷の同朋を百人引き連れて押しかけ、首根っこを引っこ抜いて爆裂弾を叩きこむと息巻く。喜助は這う這うの体で部屋を出る。

廊下に出て喜瀬川花魁を探し回っていると、やっと喜瀬川のいる部屋にたどり着く。そこには喜瀬川と馴染み客の杢兵衛(もくべえ)の姿が。喜助が他の部屋も回ってくれと喜瀬川に頼むが、ここから離れたくないと駄々をこねる。杢兵衛は、喜瀬川とは年季が明けたら夫婦(ひいふう)になるから、廻ってやれと自分からも勧めていると余裕たっぷり。喜助が他の客から玉を返せと迫られているというと、「玉返せってか?それは田舎もんだ、そんなんだからあまっこに可愛がられないんだ」と言い出す。喜瀬川が杢兵衛に4人分の玉、合計2円を建て替えてくれれば、この部屋に長くいられると甘えてくる。杢兵衛は嬉々として金を払う。喜瀬川はさらに喜助にも小遣いとして五十銭をやってやれ、と言うので、これは渋々応じる。さらに自分にも五十銭くれというので不思議に思い金を渡すと、「これでこの金は私のモノよね?」と聞いてくるので、そうだと言うと、その金を杢兵衛に戻すので「おらがもらってどうする?」と聞くと、「だからぁ、旦那も一緒に帰って下さいよ」と返す。

2024年8月24日土曜日

三代目・古今亭志ん朝の「黄金餅(こがねもち)」を聞きながら

噺のマクラには、寄席にきたお客さんに差支えの無い話をするコツとして、3ぼう(泥棒、つ○ぼう、吝ん坊)というのが出てきます。特に吝ん坊(ケチ)は絶対に寄席には来ないのだから、うんと悪く言うのだとか。この噺の西念さんもコツコツとお金を貯めた挙句、他人に使われてしまうのだから滑稽な役回りです。

個人的な聴き所としては、下谷山崎町から木蓮寺までの道中を淀みなく一息で語るシーンで、「麻布絶口釜無村の木蓮寺に着いた時には皆大層くたびれた」の台詞の後には毎回思わず拍手をしたくなります。


あらすじ:

上野の下谷山崎町にある貧乏長屋に住む、お坊さんの西念(さいねん)さんは、毎日江戸中を歩きまわって托鉢をして生計を立てていた。ある時、体調を崩して寝込んでしまうのだが、お金が惜しくて薬も飲まなければ、医者も呼ばないので一向に治らない。西念さんの部屋の隣りには金山寺味噌という嘗味噌を売っている金兵衛(きんべえ)さんが住んでおり、仕事の帰りに西念を見舞ってやる。金兵衛は西念に医者や薬を勧めるのだが、西念は金がかかるから嫌だと拒み続ける。そこで、気分転換に何か食べたいものは無いかと金兵衛が聞くと、西念はあんころ餅を一貫ばかり欲しいと言いだす。金兵衛が買ってきてやるからと勘定くれと催促すると、言い出したのは金兵衛だから金兵衛が払うようにと返してきた。金兵衛は渋々承諾して一貫のあんころ餅を西念に買ってやる。

金兵衛は西念に一貫のあんころ餅を見せて食べるように勧めると、西念は他人の見ている前では食えないので帰って欲しいと言う。仕方が無いので金兵衛は部屋に戻り、壁の割れ目から西念の部屋を覗いていると、西念はあんころ餅の餡と餅を分けてしまい、手元から出した汚い頭陀袋をひっくり返して山のような一分銀と二分金をとりだすと、餅にくるんで食べ始めた。どうやら自分の金を残して死んでいくのが惜しいので、あの世まで持っていこうというつもりらしい。西念はすべての餅を飲み込んだところで苦しみだし、金兵衛が慌てて駆けつけて餅を吐き出すように説得するも拒み続けて息を引き取ってしまう。金兵衛は西念のお金の事を知っているのは自分だけだから、どうにかして自分のものにしようと一計を案じる。

ほどなくして金兵衛は大家のもとを訪ねて、西念が死んだこと、西念から今わの際に金兵衛の菩提寺に葬って欲しいと頼まれたことを伝える。大家が金兵衛の菩提寺を尋ねると、麻布絶口釜無村(あざぶぜっこうかまなしむら)の木蓮寺(もくれんじ)だと答える。大家は長屋の連中を集めて、明日皆で木蓮寺まで西念を弔いに行こうと提案するが、金兵衛から今夜のうちに運んでしまおうと返される。結局、今夜弔いに行くことになり、長屋の連中が西念の遺体の入った菜漬けの樽(早桶ではない)を担いで出かけることになった。

(この後、下谷山崎町から木蓮寺までの道中の地名を畳みかけるように話します。それは見事なものです。)

木蓮寺に着くなり和尚を呼ぶのだが、和尚はへべれけに酔っている。しかも法要をしようにも貧乏寺で袈裟も払子も何にもない。仕方ないので和尚に風呂敷を被せてホウズキの化け物みたいな恰好をさせて、払子の代わりにハタキを持たせて、茶碗を箸でたたかせて、どうにか経を上げてもらう。和尚は途中で欠伸をしながら、甚だ怪しい御経を読む。弔いが終わったので金兵衛は長屋の皆を返して、寺の台所からコッソリ鯵切り包丁を懐に入れる。

その後、金兵衛は西念の遺体を焼き場(火葬場)まで運び、今すぐに焼いてほしいと頼む。しかし焼き場の作業員(隠亡)からは順番待ちだから明日の朝にならないと無理だと告げられる。金兵衛は散々脅かして、今すぐ焼くように、ただし腹の辺りは生焼けにするようにと注文をつける。

金兵衛は、西念の遺体が焼かれている間、新橋の夜明かしで時間をつぶして、頃合いを見計らって焼き場へ戻る。隠亡を追い払い、隠し持っていた包丁で焼かれた遺体の腹の辺りを探ると、もくろみ通り一分銀と二分金が山のように出てくる。金兵衛は狂喜しながら袂にお金を入れ、隠亡に捨て台詞を吐いて、お骨をほったらかしたまま出て行ってしまう。

こんなことをした挙句に金兵衛は目黒で餅屋を開くと大層繁盛したそうで、「黄金餅」由来の一席でした。


調べた言葉:

「一貫というと千匁」:一貫が3.75キログラム、一匁が3.75グラム(五円玉と同じ重さ)


2024年8月23日金曜日

三代目・古今亭志ん朝の「化け物使い」を聞きながら

志ん朝の「化け物使い」も何度も繰り返し聞きました。割と人使いの荒い職場にいるからでしょうか? こき使われてしまう化け物にも、ついつい感情移入してしまいます。化け物なのに御隠居から「酷い目にあわせるぞ!」と脅かされると、ガタガタ震えるところが可愛らしいです。女のっぺらぼうに針仕事をさせるシーンで、針と糸を器用に使いこなすのっぺらぼうを見て、旦那が「どっかから見てるんだな」と感想を漏らす時の間が絶妙だと思いました。


あらすじ:

本所割り下水に住む吉田さんは、元御家人さんの御隠居で独り暮らし。奉公人を雇っているのだが、あまりの人使いの荒さに誰も数日として居ついてくれない。そのころ日本橋葭町(よしちょう)には千束屋(ちづかや)という大きな口入屋があった。千束屋では吉田さん宅の奉公人の職を斡旋するのだが、御隠居の人となりが知れわたっており、皆及び腰になる。そんな中、杢助(もくすけ)さんが平然と名乗りを上げる。周囲は心配して止めるのだが、自分は心構えが違うのだから耐えて見せると動じない。

杢助さんが御隠居の下へ伺うと、二、三日は目見え、今日は骨休みだと告げられるのだが、舌の根も乾かぬうちに、薪割り、炭の準備、縁の下の蜘蛛の巣払い、天井裏の掃除、塀に書かれた悪戯書きの掃除、どぶ掃除、向こう三軒両隣の掃除、品川の青物横丁まで御隠居の書いた手紙を届け、ついでに千住に回ってくれ、と矢継ぎ早に用事を言いつけられる。しかも、今日は骨休みだからメシは抜きだと告げられる。

そんな人使いの荒い御隠居の下だったが、杢助さんは3年の間立派に勤めあげた。ある時、杢助さんが髪結い床に行くと、親方から御隠居が化け物の出る屋敷に引っ越そうとしていると教えられる。それを御隠居に問いただすと、化け物がでるという噂はあるが屋敷を一目見て気に入ったので、来月に引っ越す予定だと言われる。化け物が何より苦手な杢助さんは、とてもそんな屋敷には住めないから引っ越したら暇をくれと御隠居に願いでる。御隠居は、千束屋に頼めば代わりは幾らでも居るから出ていけと強気に出るが、開き直った杢助さんから千束屋では悪評が広まっているから代わりは見つからないだろうと返される。

杢助さんにはっぱをかけられた御隠居は、代わりの奉公人を探すのだが一向に見つからない。そうこうしているうちに引っ越しの当日になり、杢助さんはたった独りで引っ越し作業から食事の支度まで全てやり遂げて、日暮れ前に逃げるように出て行ってしまった。

引っ越しした晩、御隠居は行燈の灯りで書物を読んでいるのだが、急にぞーっとした寒気に襲われる。ふと気づくと目の前には見知らぬ小僧がお辞儀をしている。顔を上げさせると、なんと一つ目小僧だった。御隠居は驚くどころか、一つ目小僧が出てきたのを幸いと皿洗いから按摩、寝床の用意など次々と用事を言いつける。一つ目小僧は用事を済ませると、いつの間にか消えてしまった。

次の晩もぞーっとした寒気に襲われると、家が大きく揺れ、庭に大入道が現れた。御隠居はこれ幸いと、石灯篭を直させたり、屋根の上の草を抜かせたり、皿洗いや床を延べるように命じる。大入道も用事を済ませると、いつの間にか消えてしまう。

その次の晩は女ののっぺらぼうが現れる。御隠居は女性がいると家の中が華やいで良いと大喜び。さらに着物のほつれを直すように命じるのだが、ほどなくして消えてしまった。

女ののっぺらぼうが大層気に入った御隠居。次の晩は心待ちに待つのだが、待てど暮らせど出てこない。代わりに大きな狸が障子の影から現れる。狸は押し黙って何か考え込んでいる様子。御隠居は、これまで出てきた化け物はすべて狸が化けた姿だったのかと合点する。

半べそをかいた狸が御隠居に暇乞いを願いでる。曰く、「こう化け物使いが荒くっちゃ、とても辛抱なりかねます」


2024年8月22日木曜日

三代目・古今亭志ん朝の「鰻の幇間(うなぎのたいこ)」を聞きながら

鰻の幇間(うなぎのたいこ)という噺を一時期ずっと繰り返して聞いていました。主人公である太鼓持ち(幇間)の一八(いっぱち)のテンポの良い喋りが大好きです。この噺は、太鼓持ちの悲哀を現した噺と言われることもあるようですが、志ん朝版は一八と旦那の騙し合いが軽妙に描かれ、さわやかな印象すら受けました。「野だいこ」である一八が奢ってもらおうとして、逆に奢らされるたかられる内容から、自分の中では「野だいこ狩り」と名付けています。噺のまくらには、幇間の世界で名人と呼ばれた桜川忠七のエピソードが出てきます。座を盛り上げる要諦は、自分で喋らず、お客に喋らせること、といった含蓄のある話が出てきます。


あらすじ:

主人公は、師匠を持たない幇間(野だいこ)である一八(いっぱち)。毎日ヨイショして御足をもらえるお客さんを求めて、お宅へ伺ったり(穴釣り)、道を行く立派な風体の旦那を捕まえてはゴチにあずかろうと頑張っている(丘釣り)。ある日、一八が通りを歩いていると、向こうから浴衣がけの旦那がニコニコしながら一八の方へ歩いてくる。一八は誰だか思い出せないが、ともかくお客になりそうだというので調子を合わせて旦那をヨイショする。旦那は最初は嫌がっていたが一八に根負けして鰻を御馳走すると言い出す。これはしめたと一八さんは喜ぶが、連れていかれたのは古ぼけて汚い鰻屋さん。


店の中に入ると、旦那から先に二階の座敷に上がるように言われる。しかし店員の案内も無く、階段は急で部屋も汚い。一八は悪態をつきつつも座敷に座って旦那を待つ。ほどなくして旦那が上がってきて二人で鰻を食べ始める。そのうちに旦那が厠へ行くというので中座してしまい、座敷には一八が独り残される。一八は旦那が誰だったか思い出そうとするのだが、やはり思い出せない。待てど暮らせど旦那が一向に戻ってこないので、お迎えに上がろうと厠へ行くが、旦那はすでに帰ったと店員から告げられる。一八は、これは自分に気を遣わせないように先に勘定を済ませてくれたのだと早合点し、嬉々として酒を飲み始める。


ところが旦那からの心付けを期待して店員に探りを入れると、実は会計すら済んでいないことがわかる。ここで自分が旦那に嵌められたことがわかり、がっかりする一八。途端に店員に酌を求めたり、座敷の掛け軸に文句を言ったり、鰻や漬物が不味いと悪態をついたり、態度を豹変する。その後、渋々会計に応じるも、請求額は9円75銭。たった2人前の鰻とお銚子が少々で高すぎると一八が店員に文句を言うと、「実はお連れ様がおみやを3人前お持ち帰りになりました」とのこと。あまりの手際の良さにぐうの音もでない一八。着物を新調しようと貯めていた十円札で会計を済ませ、とぼとぼと玄関に行くが自分の下駄がない。下足番に事情を聴くと、旦那が履いて帰ってしまったとのこと。仕方がないので旦那の履いていた草履を出せというと、「新聞紙にくるんでお持ち帰りになりました」と返される。

2024年8月21日水曜日

三代目・古今亭志ん朝の「火焔太鼓(かえんだいこ)」を聞きながら

以前にも書きましたが、仕事中は良く落語を聞きっぱなしにして文章を書いたりしております。三代目・古今亭志ん朝さんの火焔太鼓も良く聞く演目の一つです。話の途中で太鼓の代金である300両を50両ずつ渡すシーンがあるのですが、台詞の間といい、テンポといい、絶品だと思います。


火焔太鼓

あらすじ:

主人公は、古道具屋の甚兵衛さん。ちょっと呑気な人でいつも損ばかりしており、気の強いかみさんの尻にしかれている。

ある日、甚兵衛さんが市にいって古くて汚い太鼓を安く仕入れてくるが、かみさんに見せると、そんなものは売れやしないと叱られてしまう。ところが仕入れた太鼓を店先で埃を払っていると、不思議なことに自然と音が鳴りだした。その音をたまたま近くを籠で通行していたお殿様がお聞きになり、お付きの者からどのような太鼓か見たいから屋敷にもってくるように伝えられる。それを聞いて甚兵衛さんは大層喜ぶが、かみさんはこんな汚い太鼓を見せたら先方の怒りを買って屋敷で折檻されるだろうと脅かす。

甚兵衛さんがお殿様の屋敷に太鼓を持参して、ビクビクしながら太鼓を差し出すと、お殿様はこの太鼓は火焔太鼓というこの世に2つとないもので、是非買い受けたいと願いでる。お殿様の家臣とのやり取りの末、300両で話がまとまるが、甚兵衛さんはあまりの高額に気が動転してしまう。

300両を受け取った甚兵衛さんは家に飛んで帰り、かみさんに事の顛末を告げる。かみさんは最初は信用していなかったが、甚兵衛さんから300両を見せられ腰を抜かさんばかりに動転する。興奮した二人が次に何を仕入れるかという話になり、今回上手く行ったのは音が出るものだったからなので、次は半鐘にしようと甚兵衛さんが提案するが、かみさんから「半鐘はいけないよ、おじゃんになるから」と返される。


調べた言葉:

「初午(はつうま)」:2月の最初の午(うま)の日。全国のお稲荷さんでお祭りがあった。

甚兵衛さんがおかみさんから「太鼓というのは際物といってね、お正月だとか初午前だとかしか売れないんだよ!お前さんにあつかえるかい!」と叱られる。

2024年8月20日火曜日

今日はお昼もくじらや

 今日は昼もくじらやにお世話になりました。チキンカツカレーは普段500円なのですが、火曜日は50円引きになるので時々食べにいっております。今日も雨が降っていたのですが、キャンパスの端から端まで歩いて食べてきました。



2024年8月19日月曜日

お世話になっております、くじらや(阪大吹田キャンパス)

 阪大吹田キャンパスにはくじらやという定食屋があって、いつも夕食でお世話になっております。今日も美味しくいただいてまいりました。昼と夜の日替わり定食のメニューはXにアップされるので、事前に献立がわかるのもありがたいです。また、こだわりのカレーはくじらやの定番メニューでもあります。個人的には、くじらやのカレーと阪大生協の天津麻婆丼は大阪大学のソウルフードだと思っています。下は生協の売店や喫茶店(キッチンひだまり)、くじらやが入っている建物の写真です。二階部分がくじらやです。




下の写真は、かつてお世話になった食堂「さわらび」の現在の様子です。一階部分が食堂になっていて、カーテンのかかっている窓の辺りが客席になっていました。ちなみに、外階段から上がれる二階部分は、大阪大学に所属しているイスラム教徒の方ための御祈りの部屋として昔も今も使われています。

もう一か所、工学部の巨大なビルの最上階にあった、ラシェーナというレストランも最近閉店してしまいました。ちゃんとウェイターさんが給仕してくれるレストランで、研究室に来られたお客さんをお昼ごはんに連れて行ったり、歓送迎会などでも使わせていただいたところだったのですが、今年の3月?くらいに閉店とのことでした。コロナ禍では苦労していたようでお弁当を販売していたのですが、そのお米が美味しかったのを鮮明に覚えています。


2024年8月18日日曜日

運転免許証の更新に行ってきました(大阪府門真市)

この5年間、完全なペーパードライバーだったのですが、運転免許証の更新時期が来たので大阪府門真市の運転免許試験場に行ってきました。モノレールの門真市駅から徒歩で行ったのですが、思ったより時間がかかってしまい予約時間に間に合わないのではないかと焦りました。ホームページのアクセスで見た印象よりも実際は遠かったです。東京に住んでいた時に府中市の運転免許試験場で免許を更新したことがあったのですが、その時もアクセスが悪くて不便に感じたことを思い出しました。

あとで戻ってきてネットを見ていたら、各地の運転免許試験場はどうしてアクセスが悪いのか、という記事が出ていました。みんな同じことを感じていたのですね。

試験場に着いた後は、ひたすら流れ作業にのって、あれよあれよと言う間に新しい免許証をいただきました。次の5年間もゴールドのままで行きたいものです。





2024年8月16日金曜日

台風7号で東海道新幹線が止まる

昨日、夏休みを終えて、東京から新大阪まで新幹線で移動しました。 台風7号の影響で今日の東海道新幹線が東京~名古屋間で止まってしまうということで、昨日の東京駅は大混雑でした。早めに切符を買っておいて良かったです。


道中は、松本清張の「影の車」(光文社文庫)という短編集を読みました。7つの短編が収められており、どれも面白いのですが、個人的には第4話の「鉢植えを買う女」が特に面白かったです。この作品は、ある精密機械メーカーのOLが主人公で、周囲で起こるドロドロした話が清張特有の乾いた文章で静かに展開されます。作中では、殺人事件が起こったと強く推量されのですが、それを直接的に書いておらず、淡々と物語が進行します。犯人と目される人物も事件の前後で動揺を見せたりせず、寧ろ事件を経て、心が穏やかになったような描写が続きます。この静かで不気味な感じがゾクゾクとしてたまらない作品でした。

文中で、「九州でニコヨンをやっているという噂を撒く者もいた」という表現があり、よくわからなかったのですが、ニコヨンとは日雇い労働者のことを指す言葉だそうです。日給が240円(百円玉2つと十円玉4つでニコヨン)からこの名前がついたとのことです。


以下、実家で撮った野菜の写真です。上から胡瓜、茄子、赤唐辛子、ブルーベリーです。