2024年9月27日金曜日

私の心に残る空耳アワー作品

 最近は原稿の締め切りに追いかけられているのですが、そういう時に限って邪念が湧いてきます。もう番組自体が大分昔に終わってしまいましたが、大好きだったタモリ俱楽部の空耳アワーの名シーンは今も鮮明に覚えていて、それが頭の中をループしています。折角なので思い出に残る空耳を感想と共に書いてみました。


セルジュ・ゲンズブール(Serge Gainsbourg)/風変わりな少年(I'm the boy)

(空耳)お客さんに嫌われるぞ

(対応する歌詞)Le garçon qui a le don

空耳映像:高級なスーツを着た体格の良い中年の紳士がレトロな喫茶店に入り、テーブルに座る。応対に来たウエイトレスの女性は、不機嫌な表情のまま、お冷をテーブルに叩きつけ、おしぼりを投げてよこす。見かねた紳士が立ち上がり、女性に諭すように話しかける「お客さんに嫌われるぞ」

感想:曲の雰囲気と映像が完璧にマッチしています。番組で安齋肇さんも仰ってましたが空耳の部分の声色がいかにも紳士が感情を抑えて説得するように聞こえます。ジャンパーを獲得する作品であるのも納得です。ちなみに空耳のフランス語の歌詞の意味は、”才能ある少年”、だそうです。しかし日本語では説教しているようにしか聞こえません。


The Who / Now I'm a Farmer

(空耳)ごっつ遠いね

(対応する歌詞)Gourds, Pineapple

空耳映像:最初にいかにも大阪の建物(通天閣だったかな?)が移り、出張でやってきた感じのスーツ姿の若いサラリーマンが手書きの地図を片手に町をウロウロしている。どうやら目的地が見つからない様子。そこで近くにいた小学生くらいの男の子に道案内をお願いすると、快く引き受けてくれたので、男の子に導かれるままに付いて行く。しかし行けども行けども目的地には辿り着かず、ついには町を離れて田舎道へ出てしまった。サラリーマンの男はついに音を上げて男の子に言う。「ごっつ 遠いね」

感想:曲が終わりになるにしたがって徐々に静かになっていき、最後のフレーズで野菜の名前をつぶやいていく。Gourds(ひょうたん)とつぶやいてから、ちょっと間があって最後に小声でパイナップルを言って曲が終わります。「ごっつ」から「遠いね」までの間がヘトヘトになって息が上がっている男の人の様子とマッチして素晴らしい作品だと思いました。案内してくれた男の子は全く息が上がっておらず、強靭な足腰をしているのも良いです。


フィリッパ・ジョルダーノ(Filippa Giordane)/ 清らかな女神(Casta Diva)

(空耳)あのイボ痔 あのイボ痔 ああああああ

(対応する歌詞)A noi volgi A noi volgi, Ah

空耳映像:若者とお婆さんが混雑したバスに乗っている。若者はヘッドホンで音楽を聴きながら座っており、お婆さんは痔の薬が入ったバックを抱えて隣に立っている。ふと、若者が隣にいるお婆さんに気づき、立ち上がってお婆さんに座席を勧める。お婆さんは「あの(私)イボ痔(なので座れません)」と言うのだが、若者はヘッドホンをしていて聞こえない。若者は善意のつもりで笑顔でお婆さんの肩を持って座席に座らせる。お婆さんはお尻が椅子に当たった途端に「ああああああ」と高らかに悲鳴をあげて、手で虚空を掴む。

感想:イボ痔を高らかに歌い上げているだけでも爆笑なのに、ちゃんとオチがついているのが最高です。最後のお婆さんのせつない表情が美しく伸びやかな声と相まって心に残りました。イタリア語の意味は、”私たちの方を向いて下さい”、だそうです。もはや頭の中にはイボ痔しか残りませんでした。


バレンシア(Valentia)/ガイア(Gaia)

(空耳)静かな大安です

(対応する歌詞)She is going to die unless

空耳映像:昔ながらの一軒家の中が写る。柱には懐かしの日めくりカレンダーがかかっており、その日が大安であることがわかる。居間のこたつにはお爺さんが一人座っており、お茶をすすりながら庭木を眺めている。如何にも静かな一日といった趣の中、曲の終わりに「静かな大安です」と空耳が入って映像が終わる。

感想:深刻さゼロの平和な一日と壮大な音楽があっています。


ジェームスブラウン(James Brown) / Introduction It's A New Day (So Let A Man Come In And Do The Popcorn)

(空耳)棚からウィンナー 棚からウィンナー 金 イエー! 棚からウィンナー ウィンナー ウィンナー ウィンナー あ~!!

(対応する歌詞)Got to get a witness, Got to get a witness, got to aaaaa, got to get a witness, a witness, a witness, a witness, Ah!

空耳映像:お腹をすかせた空耳俳優の有田さんが食べ物を探して冷蔵庫を開けるが、食べ物が何にもない。力尽きて床にへたり込むと、ふと頭上の棚が気になる。そこで椅子を足場に棚を探っていると、棚からむき出しのウィンナーが出てきた。もう一度探ると、またウィンナーが。続いて千円札が出てきて、思わずガッツポーズ。さらにウィンナー3本とウィンナーコーヒーが出てきたところで、足を滑らせて椅子から悲鳴を上げて落ちる。

感想:棚からウィンナーが出てくるって、どんな家だと思いますが、そのシュールな発想が秀逸です。テンションが高く、畳みかけるようにウィンナーが次々と出てくるのが面白いです。途中で千円札を手に入れたので万事解決のような気がしますが、そこからウィンナーを3本とウィンナーコーヒーを取り出すのですが、棚を総ざらいせずにはいられなかったのでしょうか。ジェームスブラウンは「りんごジュース、めっちゃ酸っぱ」もそうですが、長尺になるので好きです。


Wu-tang Clan/ウータン第7の習練
(空耳)よ よ 嫁! ホラホラ 嫁! フマキラー付いてるよ
(対応する歌詞)Yo Yo Yo Man hold it hold it yo men whom I killing tape at guy

空耳映像:病床にお爺さんが横たわり、昏睡状態らしく目を閉じている。枕元には医者と息子夫婦と思しき男女が座っており、お爺さんを心配そうに見守っている。突然、お爺さんがかっと目を見開いて嫁を指さし、「嫁、ほらほら 嫁フマキラーついてるよ」と枕元の嫁に告げて事切れる。みると嫁の肩には殺虫剤フマキラーの缶がついている。

感想:昏睡状態から覚めて、かっと目を見開いて台詞を言って事切れるシーンはインパクト抜群でした。なんで嫁はフマキラーの缶を肩につけてんだよ、とか、なんで爺さんの最後の言葉がフマキラーだよ、とかツッコミどころ満載なのが面白かったです。

マイケルジャクソン(Michael Jackson)/ スムースクリミナル(Smooth Criminal)
(空耳)パン 茶 宿直
(対応する歌詞)Woo! Cha! Chuku Chuku!

空耳映像:換気扇のアップから視線が下に移動し、アンパンのような丸いパンが3つ載った皿が写る。続いて丸いお盆に載ったヤカンと湯飲みが写り、誰かがヤカンからお茶を湯飲みに注ぐ。画面が引いて、事務室のような部屋でおじさんがお茶を飲みながらパンをかじり、テレビを見ている。どうやら現在、宿直のようだ。

感想:シンプルイズベストです。まさか曲の冒頭の叫び声に空耳を当てられるとは驚きでした。マイケルジャクソンのテンションの高さと、宿直のおじさんの落ち着きぶりが好対照で笑えました。Smooth Criminalは他にも、「朝からちょっと運動 表参道 赤信号」と「柴又から堤防 イカ寿司 朝寝坊」の2作品が印象に残っています。滑舌よく早口でまくしたてるので日本語感が増すのかもしれません。特に「柴又から堤防」の所は秀逸です。

TLC / Whispering Playa (Interlude)
(空耳)おっさん、おっさん おっさんか? おっさん えー自分だと思う
(対応する歌詞)What's up? What's up? What's up girl? What's up? Crazy for another one

空耳映像:ネクタイを緩めて赤ら顔のおっさんが千鳥足で上機嫌。周囲のサラリーマンを捕まえては、おっさん、おっさんか?と絡んでいる。それを傍らで見ていた女子高生2人が「えー自分だと思う」と冷静に突っ込む。

感想:これは何回聞いても、日本語にしか聞こえません。最初の「おっさん」の前にYo Yo Yo Yo Yo~!とテンションの高い合いの手?が入るのですが、それがイイ感じに上機嫌な酔っ払いの雰囲気を出しています。

なんと、その20秒後には、もう一つのジャンパー作品が登場します。

(空耳)何点?満点。一応、13点
(対応する歌詞)I'm there. Burn it down chil do you hear something?

空耳映像:小学生が帰りがけに返ってきたテスト結果を眺めている。その子は80点だったようだ。他の子はどうだったか聞くために、先を歩いていた2人の男の子を呼び止め、何点?と聞く。一人は満点と答え、もう一人は一応13点と答える。

感想:わずか2分足らずの曲で、これだけのハイクオリティな作品を2つ出すのは奇跡です。
英語のネイティブが口の中でもごもごと喋っても日本語感が増しますね。

2024年9月24日火曜日

徒然草・第百十五段に出てくる、ぼろ塚?(大阪府茨木市、宿河原)

阪大吹田キャンパスから国道171号線(通称:イナイチ)に出て、道路の南側を茨木市の方向に歩いていると、不二家と交番を越えた辺りに「ぼろ塚」なる塚に遭遇します。

国道には下の写真のような小さな案内板が出ています。この案内板に従って、川沿いの板金工場の側道を70メートルくらい行くと二枚目の写真のような小さな石の塚と茨木市が出した解説板?が見えてきます。何とこの塚、吉田兼好の徒然草・第百十五段に出てくる、2人のぼろ(虚無僧のこと?)が果し合いをした跡に建てられたのだそうです。第百十五段の内容は、次の通りです。(原文は下にあります)

『いろをし、という名前の虚無僧が、その昔に、しら梵字(しらぼじ)という名の虚無僧の御師匠を東国で殺したので、しら梵字が師匠の仇を打つために宿河原でいろをしを探し当てる。いろをしはその仇討ちに応じて河原にて二人で戦い、共倒れに終わる。その話を兼好が聞きつけて、二人ともに命を投げ出すさまが潔いと聞いたままに書き留めた。』

教科書にも載るような歴史的作品の舞台がここなのかと感心していると、解説板の最後には「宿河原の場所は神奈川県川崎市との説もあります」という文字が。家に帰り、早速手持ちの岩波文庫、新訂徒然草(吉田兼好著、西尾実・安良岡康作校注)をみると、確かに宿河原の注釈に現在の神奈川県川崎市と書かれていました。だとすると、この塚は一体何なのでしょうか?後世、このようなことで困らぬように、吉田兼好には「武蔵の国の宿河原」とか「摂津の国の宿河原」のように、もう少し詳しく書いておいて欲しかったです。




第百十五段

宿河原といふ所にて、ぼろぼろ多く集まりて、九品の念仏を申しけるに、外より入り来たるぼろぼろの、「もし、この御中に、いろをし房と申すぼろやおはします」と尋ねければ、その中より、「いろをし、こゝに候。かくのたまふは、誰そ」と答ふれば、「しら梵字と申す者なり。己れが師、なにがしと申しし人、東国にて、いろをしと申すぼろに殺されけりと承りしかば、その人に逢ひ奉りて、恨み申さばやと思ひて、尋ね申すなり」と言ふ。いろをし、「ゆゝしくも尋ねおはしたり。さる事侍りき。こゝにて対面し奉らば、道場を汚し侍るべし。前の河原へ参りあはん。あなかしこ、わきざしたち、いづ方をもみつぎ給ふな。あまたのわづらひにならば、仏事の妨さまたげに侍るべし」と言ひ定めて、二人、河原へ出いであひて、心行くばかりに貫き合ひて、共に死ににけり。

ぼろぼろといふもの、昔はなかりけるにや。近き世に、ぼろんじ・梵字・漢字など云ひける者、その始めなりけるとかや。世を捨てたるに似て我が執深く、仏道を願ふに似て闘諍を事とす。放逸・無慙の有様なれども、死を軽くして、少しもなづまざるかたのいさぎよく覚えて、人の語りしまゝに書き付け侍るなり。

「断崖」(松本清張著、双葉文庫)を読んで(清張大好き!)

双葉文庫 松本清張初文庫化作品集2巻、「断崖」を久しぶりに読み返してみました。この本には、表題作の他に、濁った陽、よごれた虹、粗い網版、骨折の4編が収められています。2ページで終わる骨折は別にして、濁った陽、よごれた虹、粗い網版は、社会派推理作家の肩書にふさわしい組織に潜む悪や闇を扱っております。

これに対して表題の「断崖」は異色な短編です。この作品は、誠実で知られていた老人が、若くて美しい娘さんの乱れた姿についムラムラしてしまい、娘さんが熟睡している間にコッソリいけないことをしてしまった話です。その後、自責の念と周囲の好奇の目に耐えられなくなり、ついに老人は自死してしまいます。自殺の名所で自殺者を食い止めるための仕事をしているのに、最後は自分が海の藻屑と消えるという何とも切ない話です

昨今では、警察の御厄介になったり、周囲に酷いことをしたような人たちでも「鋼のメンタル」とやらで何事もなかったようにするのが横行している中で読むと、悪いことは悪いのですが、こうした小市民的な振る舞いが心にしみます。松本清張のこういう短編もすごく好きです。


《あらすじ、ネタバレ注意》

北海道のR町にあるエシキ岬は国定公園の一角にあり、海食崖と岩礁の発達が著しく、80メートルの断崖が続いている。その岬の根元の入江には町営の宿泊センターがあり、そこには二人の管理人、62歳の谷口彦太郎と60歳の向井万吉がいた。二人は共に町役場の元職員で、現在は町の嘱託である。温厚な谷口に対して向井は陰気な性格で、お互い険悪な関係だった。二人の任務は宿泊客の応対と共に、岬に自死をするためにやってきた自殺志願者の監視であった。昼間は二人一緒に勤務し、夜は交代で一人残り、時折訪れる客の応対をした。

ある晩秋の夜、谷口が当直の時に、歳の頃22、3歳の美女がずぶ濡れで訪れる。彼女は自殺しようとして死にきれず、宿泊センターに助けを求めてやってきたのだ。谷口は疲労困憊する女を介抱し、食事を与えて床に就かせる。しかしその最中も女性の艶やかな姿態が目に付いて落ち着かない。女性を部屋に寝かしつけて、自分は別室で休もうとするのだが気持ちが昂ってしまいどうしても眠ることができない。ついに夜半過ぎに女性の部屋に忍び込み、昏倒するように眠る女性を相手に思いを遂げる。女性は何をされたのか気づかないまま、次の日体調を回復して帰って行った。その後、一週間して女性から礼状が届いた。

しばらくして谷口が女性と関係を持ったのではないかという噂が立った。向井が吹聴したのだ。その噂が広まるにつれて周囲の人たちの谷口を見る目が変わってきた。これまで柔和で親しみやすいと思われてきただけに、人々は落胆し谷口を気味悪がった。噂は町役場にも届いたが、証拠がある訳では無いので周囲はそれ以上は踏み込んでこなかった。その遠巻きに見られている感じが逆に谷口を苦しめた。

冬の間にセンターは閉鎖されているが、その間も周囲の人達の視線は変わらなかった。谷口はみるみる憔悴して痩せていった。

やがて春が近づき、再び女性から手紙が届く。そこには良縁に恵まれて結婚すること、自分が立ち直る契機になったエシキ岬を今度は夫婦で訪れたいと書かれていた。夫婦が訪れると予告した三日前、谷口はバスの乗客が一人帰りが遅いので探してくると言って、センターを出たまま戻らなかった。次の日、海中を覗くグラスボートの客が藻のそよぐ草原を漂う谷口を発見した。

2024年9月23日月曜日

見た夢の記録 現世は夢、夜の夢こそまこと

大学1回生の教養科目の授業で、精神分析学入門、というのがありました。フロイトやユングの夢分析についてわかりやすく解説してくれる授業でした。折しも河合隼雄先生の「とりかえばや男と女」などのユング心理学に関する本が流行していたので、興味を持って受講しておりました。当時は授業に感化されて、厚紙のケースに入ったフロイトの精神分析入門などを買って、本棚に仕舞っておりました。残念ながら難しくて読了できませんでしたが…。あの本はどこにいったのだろうか?

最近、立て続けに就寝中に夢を見ました。平日は仕事でヘトヘトなので夢どころの話ではないのですが、連休でのんびりして二度寝などもしているので起きても覚えているような夢をみたのかもしれません。そんな夢の記録です。

22日、小学生のころから大学院生になるまで可愛がっていた愛犬が夢に出てきて、一緒に遊びました。もう20年以上前に亡くなってしまった犬なのですが、折に触れて夢に出てきてくれます。いつまでも一人前になれないのを心配して時々見に来てくれていると勝手に解釈しております。

23日、遠方に出張して、ホテルをチェックアウトするのを忘れてルームキーを持ったまま電車に乗ってしまい、途中で気づいて慌てる夢をみました。いかにも現実に起こりそうで、目覚めたあと嫌な感覚が残りました。現在、複数の原稿の締め切りに追われているので、それを反映したような夢であるように思います。

2024年9月22日日曜日

「ポケットにライ麦を」(アガサ・クリスティー著、山本やよい訳、早川書房)を読んで

 出張中の移動時間で「ポケットにライ麦を」を読みました。アガサ・クリスティー作品を読んだのは久しぶりで、中でもミス・マープルが活躍する作品は初めてでした。本の裏表紙に、マザー・グースの童謡「6ペンスの歌(Sing a song of six pence)」に材を取った連続見立て殺人、とあったので、「そして誰もいなくなった」のような作品をイメージしていました。しかし「ポケットにライ麦を」は、大分印象が違いました。ただの素人が知ったような事を言うようですが、トリックや見立て殺人の無理やり感?がなく、ストーリーがすっと頭に入ってきて読みやすくて面白かったです。



タモリ俱楽部・第22回 空耳アワード2019(後編)を振り返る

2019年11月9日に放送された、タモリ俱楽部・第22回 空耳アワード2019後編のまとめです。前回に引き続き、司会はグローバーさん、審査員は安齋肇さん、タモリさんに加えて、ゲストのハマオカモトさん、尾上右近さん、天海祐希さんです。


USロック部門①

Feel invincible / Skillet

なぜか冷めてない

Nothing could stop me tonight

Sleeping / The Band

なぜ鳴らさん?

Now there's not a sound

The silence / Halestorm

早よせぇ!お茶ーっ!!

Everything will change

ロザンナ・TOTO

どこにいる?信州上田へ、野沢菜はイヤ!

Not quite a year since she went away, Rosanna yeah


USロック部門②

オーファン・TOTO

野間だ、ノーパンだ、脳死した、えっ!?ノーブラだ

No mother, no father, no sister and no brother

Follow My Heart / REO Speedwagon

夕方にAD怒らせた

You've got the lead baby I've got a start

Kol Shetzarikh Ze Dam/ Beatallica

あんたらの腰触りてぇな腰触りてぇな腰触りてぇな なぁ?

Ata nadosh! Kol shetzarikh ze dam Kol shetzarikh ze dam Kol shetzarikh ze dam! Dam! ヘブライ語

Take on me / Weezer

オムツせいや

I'm to say, I' 

Kindergarten / Face no more

兄ちゃん卵 なんで投げた?

Return to my own vomit like a dog(大賞獲得!特製空耳壁紙獲得)


空耳 働き方改革①(ハウフルス会議室作品)

会社の会議室を模様替えすることで、スタジオを借りる手間とお金を節約する。

What are they gonna say now / Ashanti

わて合成なんかい?はぁ?わて合成なん!?

What they gonna say now gotti? Huh? What they gonna say now?

Empire of the Damned / Sepultura

デブに援助 ステーキにメロン 誰?忘れた 食いたい あっ うわー

The extreminating angels here there's to be emperor to command nospheratus creature of crypts

In this moment / Turn you

あ、分からないんだ先生 そうなんです こういう一揆はない

I'm not gonna make this easy. You thought I'd be screaming your name


空耳 働き方改革②(AD内山監督作品)

下の二つの作品は共にTシャツ獲得!

Psycho killer / Talking Heads

もう一度言えるか?

Why say it again?

Storm in a teacup / Red Hot Chili Peppers

タンバリンが倒れたー

Somebody get down here now


EUロック部門

Dogs on leads / Accept

終わったな!

Once cut off

Spectre / Judas Priest

イナリが出そう

In a league of his own

Eye in the sky / The Alan Parsons Project

童貞 ソリ 地蔵

Don't think sorry's easily

The clash / London calling 

あ、そういうノリなん?

I saw you nodding out


ポップス部門

砂に書いたラブレター(Love letters in the sand)/ Pat Boone

名前冒険派です

Now my broken heart aches

愛は永遠に/ Carpenters

童貞捨てるシーンは怖い

Don't they still seem worthwhile

この素晴らしき世界 (What a Wonderful World) /Louis Armstrong

あ、返品ですかい

I hear babies crying


2024年9月21日土曜日

タモリ俱楽部・第22回 空耳アワード2019(前編)を振り返る

2019年11月2日に放送された、タモリ俱楽部・第22回 空耳アワード2019前編のまとめです。司会はグローバーさん、審査員は安齋肇さん、タモリさんに加えて、ゲストのハマオカモトさん、尾上右近さん、天海祐希さんです。後編の模様はこちらです。


メタル部門

腐食性物質/ナパームデス

レインコート みんな黄色

Staying on an even keel

無敵のスラッシュ野郎ども / Municipal Waste

カツをどんどん食わす

Can't deal with all the pressure

Above the winter moonlight / Dragonforce

二度漬け あかんかね?

Rivers of pain are guiding me

Morbid visions / Sepultura

桐島行け!前へ!叫べ!脇臭っ!死んだ!どうして!?

Crucified killed buried sacrificed fuckin' Messiah stepped down blood stained 

Satanic Lust / Sarcofago

絶対に 嫌ぁーっ!

Satanic lust

Rapture / Morbid Angel

穴掘りは 罰として 1人でやる!

Unholy ones bastard saints scorn of the earth


ディーヴァ部門

No rights No wrongs / Jess Glynne

たまには 肉を出せ

How many prayers lead to a blessing?

Ilomilo / Billie Eilish

父ちゃんがつわり

Told you not to worry

Peace of Mind / Kehlani

違う それはフン

Do you get it? So I think

いろんな事が起る / Bridget Fontenot

さっきのでいい

Ce qu'il dit

十字架 / Edith Piaf

字幕はどうなってた?

J'ai ma croix dans la tête


特別企画 天海祐希と尾上右近の新作投稿作品

Guilty of being white / Slayer(尾上さんの作品)

あー遅い!

I'm sorry(手ぬぐい)

 Easy lover / Philip Bailey & Phil Collins(天海さんの作品)

至難のワザ

She's like no other(手ぬぐい)


ソウル・R&B部門

涙の口づけ / The Manhattans

アゴの密集 アゴの密集

I'm gonna miss you

Right Moves (feat. Keida & Shenseea) / Christina Aguilera

どんどん粘り気が出たらいいんやで

Ya dun kno nobody can test, you're da

Hurry gully / The Olympics

カレー裸で ママ裸で パパ裸で 日々裸です

Hully, Hully Gully, Momma hully gully, Poppa hully gully, Baby hully gully too

Cause I love you / Lenny Williams

そうめんにナッツを入れんな

Some men need lots of women


ヒップホップ部門

Robbin' Hood Theory / Gang Starr

むしろ気になるね

What's your opinion on that?

Shotta Boys feat. STIX / Wyclef Jean

アリは2位ね

Hollywood need me

Mob ties / Drake

すぐに脱ぐ すぐに脱ぐ

Sick of these niggas, sick of these niggas

涙のブラザー / Wu-tang clan

お茶 お茶がうめー!! おい母ちゃん!おい母ちゃんメロンだ!うぉー!!メロン!メロン美味しい!!

Watch out, watch out, move back, don't touch him, don't touch him, man don't touch aaaahhh no no oh shit


ワールド部門

Danza Kuduro / Don Omar feat. Lucenzo

先生 来るよー!

Danza Kuduro

'Ahulili / Gabby Pahinui

貝に目がない

Ka `i`ini me ka `ano`i  *ハワイ語

バイラ・ミ・リトモ・イラケレ

カミナリ来ねぇな、まだルワンダ!?

Camina rico nena muevelo anda

Rude boy train / Desmond Dekker

下駄あんま好きちゃう

Get up a circuit chart

Ella Me Levantó / Daddy Yankee

笑わせろよ?

Ahora vacilo yo

2024年9月19日木曜日

君よ 勝田の風になれ(第72回 勝田全国マラソン)

家のポストに、来年の1月26日に行われる勝田全国マラソンのランナー募集の案内が届いておりました。勝田全国マラソンは、私の故郷、茨城県ひたちなか市で毎年1月下旬に催されるマラソン大会で、次で72回目とのことです。たしか全国のマラソン大会の中で二番目に古い大会だと聞いたことがあります。私は10キロの部に毎回エントリーしており、次回も10キロの部に挑戦する予定です。新型コロナウイルス感染症の影響で中止していた時期を除いて、トータルで十年くらいは出ていると思います。

我がひたちなか市は、冬の勝田全国マラソンと夏のロッキンジャパンが二大イベントでした。夏のロッキンジャパンが千葉に行ってしまいガッカリしていたのですが、今年はひたちなか市でやっていただけて良かったです。田舎なので、大きなイベントがあると地元のお店が潤うのでずっと続けてほしいです。


2025/1/12追記

ゼッケンや足に着けるICタグの一式が送られてきまして、その中に入っていた今年の長袖シャツのデザインは下の写真のような感じでした。これを着て走ろうと思うのですがインナーで着てしまうと、ロゴが見えないですね。う~ん、どうしよう。


2024年9月18日水曜日

山田五郎さんのYouTube「オトナの教養講座」が面白かった

最近は原稿の締め切りを幾つか抱えているため、一日専らデスクワークです。原稿を書いているときは何か音があった方が筆が進む気がしているので、YouTubeでBGMを聞きながらやっております。少し前までのBGMは三代目・古今亭志ん朝の落語だったのですが、最近は山田五郎さんの「オトナの教養講座」に嵌っています。

私はええかっこしいなので、折に触れて美術館に行ったりしておりましたが、肝心の美術史は全く無知でした。この動画では軽妙なトークで作品の背景や魅力をわかりやすく紹介してくれています。私のような知ったかぶりには目から鱗の知識でいっぱいです。レオナルドダヴィンチは凝り性で〆切を守れなかったから残っている作品数が少ないとか、セザンヌは写実的に描けないから(下手だから)現在絵画の父と呼ばれるようになった、などの説明はすごくおもしろかったです。

あと、山田さんの親友のみうらじゅんさんが時折り登場して仏像トークを繰り広げている動画もあるのですが、これもとても好きです。以前、CSのMondoTVで放送されていた「みうらじゅんと山田五郎の男同士」や続編の「親爺同士」(だったかな?)を見ていて、息の合ったトークを毎回楽しみにしていた者としては、美術の話題で再びお二人のトークが聞けて良かったです。


追記:24年の10月5日に御病気のことを話されていて、とてもショックでした。治療を続けながらも動画は今後も更新されるとのことですので、無理のない範囲で続けてほしいと一視聴者として願っております。少しでも快方に向かわれることを祈っております。

2018年のタモリ俱楽部・空耳アワーの詰め合わせ

「誰が言ったか知らないが、言われてみれば確かに聴こえる空耳アワーのお時間がやってまいりました」の決め台詞でお馴染み、タモリ倶楽部の人気ミニコーナー、空耳アワーの2018年のまとめです。タモリ俱楽部が終了してしまって随分経ちますが、思い出に浸りたく、ハードディスクに録画されている昔の空耳アワーを見返してみました。抜けが多くてすいません。

空耳アワード2018のまとめは、前編がこちらで、後編がこちらです。併せてご覧下さい。


2018年1月13日放送、「痴の巨人 デリ○ル・ビッグデータをついに解析!」の回
1. Fill her up/ Sting
パンチする フリ
Pine trees real pretty(手ぬぐい)

2. Red city / Stone Sour
ワキ毛の競り
Walking in a city(手ぬぐい)

3. One shot, one kill /ドクタードレー(?)
あっあっあっ あなた腹筋揉んで あっあっあっ あなた揉んで
Uh uh uh another fuckin' body, uh uh uh another body(手ぬぐい)

2018年1月27日放送、「こんなに集めてど~するの!?潜入!辞書コレクターの魔窟 境田邸」の回
1.Falling in Love / Aerosmith
いつだって琵琶湖
It's got to be hard core(手ぬぐい)

2.十字架のもとで / Joao Gilberto
おしっこ終わって 恥じらう患者
Chegou ate a jurar um grande(耳かき)

3.Doinit / Common
チ○ポ 真っ白だ
Chip on my shoulder(耳かき)

2018年2月3日放送、「タモや相撲クラブ緊急招集!やくの相撲コレクション生前贈与」の回
1.夢見る想い  / ジリオラ・チンクェッティ
の…乗れた
Non ho l'età(耳かき)

2.Picturing the past / Sonata Arctica
変だな 揃ってない
Can't tell a soul not this time(手ぬぐい)

3.Our final stand / Dragonforce
負けだ 勝利なのだ!
Marching north showing no remorse(手ぬぐい)

2018年2月17日放送、「春の行楽のヒントになるかも!?ザンネンな観光パンフレットAID」の回
1.From the edge of the deep green sea/ The Cure
触っちゃう 部長恥じる
So I try put your hands in the(手ぬぐい)

2.Musicology / Prince
イっちゃって イっちゃいました
It ain't chuck d or jam master(手ぬぐい)

2018年3月3日放送、「わざわざ海外まで行くのは時間の無駄!?マニアと行く!!妄想ワールドトラベル」の回
1.I / Kendrick Lamar
あ もっとボーナス無い?
I went to war last night(手ぬぐい)

2.Begin the beguine / Julio Iglesias
ウ○コと言います
un poco más(耳かき)

3.Gorgon speaks version / King Tubby
はっはっはっはっはっはっ そう言われてみると良い子ですね
Ha ha ha ha ha ha suh yuh av di lip love beat up yuh sen(耳かき)

2018年3月17日放送、「アナログオーディオ出張販売シリーズ①激レアターンテーブル大試聴会!」の回
1.Storm in a teacup / Red hot chili peppers
ぶってぶって蹴ってからぶって
Whoop-tav-whoop-tav-git-ta-gala-goop-ta(手ぬぐい)

2.Message of Love / Pretenders
ノーブラ ノーブラ ノーブラ ノーブラ…
Over and over and over and over and ...(耳かき)

2018年3月31日放送、「地に足のついた特別企画 驚異の全自動デジタル地盤測定器登場!」の回
1.Qué Me Has Hecho (feat. Wisin) / Chayanne
校門からメロン
Como un caramelo(手ぬぐい)

2.Funky Drummer / James Brown
フッ この!この!!フッ ダマされた フッ うっ!! りんごジュース りんごジュース りんごジュース りんごジュース めっちゃ酸っぱ!!
Huh call the law call the law huh the devil's son-in-low huh uh bring on the juice make me sweat(ジャンパー

2018年5月19日放送、「みんなのお悩みをすべて解決!(しない物もあり)潜入!秋葉原サンコーレアモノショップ」の回
1.男が女を愛する時(When a Man Loves a Woman)/Percy Sledge
指1本踏んだ
If he put her down(手ぬぐい)

2.Lately / Stevie Wonder
腰より下 中くらい
'Cause they always start to cry (耳かき)

2018年6月2日放送、「真夜中の静かなる寝姿の祭典 NEZzz…O チャンピオンシップ 女子フリースタイル」の回
1.Brown skin girl / Leon Bridges
僕だけ 損
Polka-dot dress on(手ぬぐい)

2.Strip that down / Liam Payne
班長 これ 碁? ヨーヨー
Huncho quavo yo yo(手ぬぐい)

2018年6月9日放送、「レトルトカレーが30種超え!無印良品カレー王国の謎」の回
1.You Got Lucky / Tom Petty & The Heartbreakers
夕暮れの街 あんなに酔ったんよ あ~
You put a hand on my cheek and then you truned your eyes(手ぬぐい)

2.Bulls on Parade / Rage against the machine
コンビニねえ コンビニねえ 坊さんの礼
Come with it now come with it now bulls on parade(手ぬぐい)

*最後に安齋肇さんの展覧会のアナウンス

2018年9月15日放送、「潜入!国立音大 全員チューバのオーケストラ!?」の回
1.Show me the wrath / Sepultura
ぶらりやって来て 月収3万円
The blood of victims, Gushes on my hands (手ぬぐい)

2.I surrender / Rainbow
踊り 頑張ってみい 朝練だ 朝練だ 君の苦労は見てんだ
Oh daring come back to me, I surrender, I surrender, I'm giving up the role of pretender (耳かき)

2018年9月29日放送、「あの夏を忘れない 高回転レンタルグラビア水着2018」の回
1.Go away little girl / Donny Osmond
夏子 村出ねぇのか?
Let's call it a day little girl(手ぬぐい)

2.Call me / Brondie
今 一瞬 つかまえたのは あのアブラゼミだ 神!
Emotions come I don't know why cover up love's alibi call me(耳かき)

2018年10月20日放送、「超レア物!それともただの売れ残り!?日本文具マニアさん大賞」の回
1. Jeffrey Dahmer / Soulfly
将棋 見て 歩が無い
Stalking victims through the night(手ぬぐい)

2. 愛は永遠に/ Carpenters
童貞捨てるシーンは怖い
Don't they still seem worthwhile(耳かき)

2018年10月27日放送、「超レア物!それともただの売れ残り!?日本文具マニアさん大賞 後編」の回
1. Sleeping / The Band
なぜ鳴らさん?
Now there's not a sound(耳かき)

2. Eye in the sky / The Alan Parsons Project
童貞 ソリ 地蔵
Don't think sorry's easily(耳かき)

2018年11月10日放送、「空耳アワード2018前編」の詳細はこちらをご覧ください。
2018年11月17日放送、「空耳アワード2018後編」の詳細はこちらをご覧ください。

2018年12月1日放送、「おめでとう!ありがとう!うまい棒40周年祭!(まだ39年だけど…)」の回
1. Vamos al mar / Gilles Peterson's Havana Cultura Band
えっ!?おいらのガラス割ったろ?
Oye descarado iSueltala!(手ぬぐい)

2.腐食性物質 / Napalm Death
レインコート みんな黄色
Staying on an even keel(耳かき)

2018年12月15日放送、「夢の対決!桑田vs清宮!?ものまねプロ野球オールスター戦」の回
1.Empire of the Damned / Sepultura
デブに援助 ステーキにメロン 誰?忘れた 食いたい あっ うわー
The extreminating angels here there's to be emperor to command nospheratus creature of crypts(耳かき)

2.十字架 / Edith Piaf
字幕はどうなってた?
J'ai ma croix dans la tête(Tシャツ!)

2024年9月16日月曜日

「ジョジョの奇妙な冒険 Part3スターダストクルセイダース」(荒木飛呂彦著、集英社文庫)を読んで

夏休みにジョジョの奇妙な冒険の第2部を読んだ流れで、久しぶりに第3部を読み返しました。連載当時もリアルタイムで読んでいましたが、その時は確か中学生だったと思います。あの時から色々と革新的で驚きました。私はバトル漫画が大好きな少年だったのですが、多くのバトル漫画がストーリーの中で、次から次へと強敵を出していった結果、最終的に主人公が有り得ないほど強くなってしまう事(要するにバトルインフレ)が子供心にも無理があると感じていました。曰く、全力を出すと地球が壊れるとか、この技を出すと寿命が10年縮むとかは、流石に収拾がつかなくなっているように感じて読んでもつらかったものです。その点、幽波紋(スタンド)は、個々に一長一短の個性・能力があり、生かすも殺すも使い方次第なところがあって、頭脳戦の要素が入ってくるので、バトルインフレを回避できてストーリーに深みが出たように思ったものです。

第3部自体は漫画も何度も通して読んでいますし、アニメも最初から最後まで何度も見ているほどなので、もはや私の肉体・思考回路の一部になっている作品ですが、何度見てもスタンドのデザインが抜群にカッコイイですね。銀の戦車(シルバーチャリオッツ)とか凄い好きです。あと地味にエボニーデビルとかリアルタイムで読んでいた当時は怖かったです。今読むと単なる雑魚敵なんですけどね。

あと、荒木先生独特の擬音、「チュミミーン(女帝)」とか「ザリガニも食ってパワーアップ!ブチュブチュルつぶして!(黄の節制)」とか子供心を鷲掴みにするインパクトの強い台詞が満載で、中学生の時に休み時間に友人たちと荒木節?全開ではしゃいでいたことを思い出します。



2024年9月15日日曜日

「ジョジョの奇妙な冒険 Part2戦闘潮流」(荒木飛呂彦著、集英社文庫)を読んで

久しぶりに「ジョジョの奇妙な冒険 Part2戦闘潮流」を読み返しました。

初めて荒木飛呂彦先生の作品を読んだのは、「バオー来訪者」でした。当時自分は小学生で、周囲の例にもれず週刊少年ジャンプにドハマりしておりました。その時のジャンプといえばキン肉マンや北斗の拳などのバトル漫画のオンパレードでしたが、その中で荒木飛呂彦先生の作品は、絵柄だったり、擬音や台詞の言い回しなどが独特で、子供ながらに異彩を放っていると感じておりました。「バオー来訪者」は短く終わってしまいましたが、すぐに「ジョジョの奇妙な冒険」が始まったと記憶しております。

ジョジョの奇妙な冒険は当時の第1部から今も続いている超ロングセラーだと思いますが、第1部と第2部が特殊な呼吸法によって会得できる生命エネルギー、波紋(はもん)を駆使して吸血鬼や超生物と戦う話です。正直に言うと、第1部は残酷なシーンも多くて苦手でした。のちの第3部で幽波紋(スタンド)が出てくるまで、軽く読んでいる程度だったので、この第2部はうろ覚えという感じでした。ただ、仲間のシーザーがジョジョに未来を託して死んでいくシーンだけは当時から強烈な印象がありました。

今読み返してみると、Santana(サンタナ)、Wham!(ワムウ)とかAC/DC(エシディシ)、The Cars(カーズ)とか主要なキャラクターの名前が洋楽由来だったり、のちにジョジョ立ちと名付けられる独特のポージングなど、既に確立されていたのですね。どこかのサイトでキャラのデザインに北斗の拳の絵柄の影響があると書いてありました。確かにそうかもしれないのですが、あの当時は他にも魁!!男塾など皆そういう画風(男性キャラが筋肉質でごつく、異常に大きな雑魚キャラが出たりする)だったように思います。ジョジョの第2部のラストのシーンは当時全く記憶になかったのですが、ちゃんとハッピーエンドで終わっていて良かったです。しかも第3部の導入になっていたとは気づきませんでした。今回読み返してみて、改めて魅力を再発見しました。


戦闘潮流の章立て

・ニューヨークのジョセフ・ジョースター

・ストレイツォVSジョセフ

・「柱の男」

・「柱の男」サンタナ

・ローマのジョセフ・ジョースター

・エイジャの赤石

・太古から来た究極戦士

・死の契約・結婚指輪

・波紋教師 リサリサ

・行け!波紋マスター

・炎・流法 エシディシ

・忍びよる残骸

・シュトロハイム隊の逆襲

・光・流法 カーズ

・シーザー孤独の青春

・要塞ホテルを登り切れ

・風と戦車とワムウ

・風に帰る戦士

・リサリサとジョジョを結ぶ絆

・ジョジョ最後の波紋

・超生物カーズ誕生

・ジョセフ最後の賭け

・神となった男

・大西洋を越えて来た男



北大阪急行線の新しい駅(箕面船場阪大前駅)

やっと涼しくなった、というか日中の気温が我慢できる範囲内に収まってきたので、昼間でもジョギングが出来るようになりました。今日は北大阪急行線の新しい終点である、箕面船場阪大前駅まで足を伸ばしました。この駅が開業したのは今年の3月23日だそうですが、私の最寄り駅は千里中央駅なので今まで行ったことが無かったです。 

ふと地面を見るとマンホールが大阪万博(EXPO2025)のミャクミャクで驚きました。万博が終わったら取り換えるのでしょうか。

改札口の写真です。昼間なのに誰も居なくて写真が撮れたのですが、ちょっと心配。

駅の名前にもなっている、大阪大学箕面キャンパスの建物の写真です。外国語学部が入っています。かつては箕面市の山奥にキャンパスがありましたが、4年くらい前に現在の場所に移ってきたそうです。以前の箕面キャンパスにも一度だけ行ったことがありますが、急斜面の土地に建物を階段状に配置していて自転車でキャンパス内を移動するのが怖かった記憶があります。現在は、写真のように綺麗な高層の建物になり、場所も駅の近くで、学生さんには便利になったのではないかと思います。さらに箕面キャンパスは、吹田キャンパスと豊中キャンパスの中間に位置しているので、学内バスでのアクセスも良くなりました。



2024年9月8日日曜日

西国街道沿いの神社(箕面市小野原)

 9月に入り、多少は気温が下がってきたので昼間にジョギングが出来るようになってきました。大阪大学吹田キャンパス周辺では旧西国街道の辺りが旧家や歴史的な建物が多くて好きです。下記の春日神社は一見新しそうに見えますが、奥の御社は神護景雲年間(西暦767~770年)から鎮座しているそうです。またその下の写真は春日神社の向かい側を写したものです。写真の中央にある、京都伏見への方向を示す道標は享和年間(1802年)に設置され、奥にある建物にはどうやら井戸があるようで、その井戸は何と楠木正成公が水を飲まれたとのことです。たったこの一角だけでも千年以上の歴史が詰まっているなんて、ロマンを感じてしまいます。


2024年9月7日土曜日

三代目・古今亭志ん朝の「抜け雀(ぬけすずめ)」を聞きながら

 「抜け雀」は昔の名人の逸話と言った噺で、芸事を極めると魔法のような事まで起こすことができるという、昔話の典型のような噺です。同じような名人の逸話に「宗民の滝(そうみんのたき)」があるかと思います。噺のマクラで現在の落語家に名人はいない、と志ん朝が語っているのがあるのですが、芸事を極めるというのは容易ならざることだと伝わってきます。


あらすじ:

江戸時代、旅人たちに嫌がられたものに護摩の灰(ごまのはい)と雲助(くもすけ)というのがあるそうです。護摩の灰というのは泥棒のことで、旅の道中で一度でも目をつけられると、お金を取るまでどこまでも追ってきたそうです。だから当時は、しつこくて嫌な奴のことを、あいつは護摩の灰みたいだ、といったそうです。さらに、それ以上に嫌がられたのが雲助、駕籠かきだそうです。当時の駕籠かきには悪い奴が混じっていて、女性の一人旅とみるや無理やり駕籠に乗せ、目的地とはまるで違う方向に連れて行って散々酷いことをした、なんて話が幾らもあったそうです。

東海道の宿場町、小田原は夕暮れになると各宿の前には客引きが出て、大層にぎわったそうだ。そこへ行くのは汚い着物をきた若い男。他の旅人は方々の客引きに声をかけてもらえるのだが、自分は誰からも声がかからない。そのうちに相模屋という鄙びた宿屋の主人が声をかけてきたので泊まることにした。若い男は「内金に百両でも預けようか」と大きなことを言うので、人の良い主人は安心してしまった。しかし宿につくと、男は朝、昼、晩に一升ずつ、日に三升もの酒を飲んで七日もの間、寝てばかりいる。宿のおかみさんが支払いを心配して、主人にせめて酒代だけでも回収するように言ってきた。主人は嫌々ながら酒代として五両欲しいと催促すると、なんと男は無一文であることが判明する。困り果てた主人は男の職業を聞くと、狩野派の絵師だと答える。せめて大工だったらどこかを直してもらえたのにと主人が愚痴を言うと、男は真っ白な衝立を見つけ、これに絵を描いてやろうという。その衝立は無一文で泊めた丁子屋に作らせたもので、白いままなら売れるから描かないでほしいと懇願するが、男は言うことを聞かない。主人に墨を磨らせて自分は構図を考え、流れるように雀を五羽描き加えた。曰く、一羽につき一両。五羽で五両の価値がある。これを宿賃の抵当(かた)として置いていくので、再びこの宿を訪れるまで売ってはいけないと一方的に言い放って宿を出て行ってしまう。一方、おかみさんは男が宿賃を踏み倒して逃げていったと知り、不貞腐れて寝てしまう。

翌朝、主人は不貞寝しているおかみさんを尻目に、昨日まで男が泊まっていた部屋の雨戸をあけると、部屋のどこからか雀が五羽でてきて、窓から外へ飛んで行ってしまった。主人は昨晩雨戸を閉めたときに鳥を閉めこんでしまったのかと思っていると、外へ出て行った雀が窓から戻ってきて再び衝立の中に収まった。主人は驚き、おかみさんに事の顛末を告げるのだが信じてもらえない。周りの人達に話をしてもやはり誰も信じてくれないので、次の朝、皆を部屋に集めて雨戸を開けてみる。すると昨日と同じように衝立から雀が飛び出し、雨戸の外へ出て行ったかと思うと、しばらくして部屋に戻り、衝立の中に収まった。

この評判が国中に広まり、相模屋は雀のお宿と呼ばれ大そう繁盛した。さらに、この評判が時の御城主、大久保加賀守さまのお耳に届き、お殿様の前で衝立を披露することになった。お殿様は大層感心し、千両で買い取ろうと申し出る。しかし正直者の主人は男との約束でお売りできないと伝える。お殿様は、ではその男が再び戻ってきたら知らせるようにと言いつけ、お城に戻る。

その後も相模屋は繁盛を極めるのだが、ある日、歳の頃六十くらいの人品卑しからざる老人が訪れ、衝立を見たいと言い出す。主人が誇らしげに衝立を披露すると、この絵には抜けがある、と言う。曰く、この絵には止まり木が描いていない、と。主人は止まり木なんて不要だと言うのだが、老人は止まる所がないと衝立の雀はいずれ死んでしまうだろうと言い放つ。さらに老人が止まり木を描いてやろうと言うので、主人は渋々承諾する。次の朝、雀たちが衝立から飛び出して外へ出て行った隙に、老人は鮮やかな筆さばきで止まり木と鳥籠を描いた。やがて雀たちが戻ってくると衝立の鳥籠に入り、止まり木の上で羽を休めた。これを皆が見ていたため、評判がさらに広まり、二度目に大久保加賀守さまがご覧になった時には、千両上がって二千両の値がついた。

宿屋の夫婦は怖くなってガタガタ震えている。と、そこへ雀の絵を描いた若い男が再び宿に戻ってきた。しかも今度は立派な身なりをしている。主人は約束通り絵を売らなかったことを告げると、約束を守ってくれたお礼に絵は進呈する、と言う。続いて主人は見知らぬ老人が止まり木を描いた顛末を告げると、男が驚き、絵を見たいと言い出す。男は衝立を前にすると、急に神妙になり、絵に詫び始める。男が言うには、これを描いたのは自分の父上で、自分は絵のことで思い違いをして勘当され、今回の雀の絵が元で勘当を許され、国許に帰る途中だと言う。主人が、「これだけの絵が描けるような名人になったのだから、あなたは孝行ものだ」と告げると、男が言う、

「いや拙者は不届きものだ。大事な親を駕籠かきにしてしまった。」

久しぶりに太陽の塔をみました(万博記念公園、大阪府吹田市)

 久しぶりに仕事で万博記念公園に行きまして、太陽の塔を見ました。前の万国博覧会(Expo'70)が催されたのが1970年ですので、塔が作られてから既に五十年以上経っております。しかしその立ち姿は今も堂々としていますね。大阪大学(および京都大学)の学生や教職員は、万博記念公園の中にある国立民族学博物館への入場料が無料になるので助かっております。




2024年9月6日金曜日

「鉢植えを買う女」(松本清張著、光文社文庫)を読んで(清張大好き!)

 「鉢植えを買う女」(光文社文庫プレミアム、松本清張プレミアムミステリー「影の車」収蔵)

本作品の主人公は、結婚を諦めた中年女性が代わりにお金に執着する話です。こういう主人公は、他の短編、例えば「馬を売る女」にも出てきます。しかし「馬を売る女」は中年女性がお金目当ての男性に籠絡されて、ずぶずぶの泥沼にはまってしまうのですが、本作の主人公は冷静さが半端ないです。本作の主人公もお金目当てに寄ってきた男性と肉体関係を結びますが、それと金銭関係とは完全に別扱いで、(そのシーンは書かれていないのですが)大金を掴むチャンスと見るや容赦なく相手を殺して金を奪います。しかも(そのシーンも明確に書かれていないのですが)アパートの自室の浴槽に鉢植えの土を入れ、死体を埋めて白骨化させ、その「動物の脂がしみ込んだ」土で野菜や花を育てます。呆れるような鬼畜っぷりですが、本人は一切後ろめたさを示すことなく、とても穏やかに振る舞っており、その静かな狂気がゾクゾク(ワクワク)します。こういう清張作品は大好きです!


あらすじ(ネタバレ注意):

上浜楢江はA精密機械株式会社の販売課に勤める会社員である。周囲の若くて綺麗な女性社員たちが次々と結婚して退社していくなか、彼女はその機会を失い、徐々に金銭の貯蓄価値を信仰していく。彼女は蓄財し、会社の同僚や寿退社した女性たちに月に一割の利子で金貸しを始める。同じ会社の会計課に勤める杉浦淳一は楢江に金を借りる常連だった。彼は社交的で女好き、さらに無類の競輪好きで年中金に困っていた。ある日、彼は楢江の部屋を訪れ、彼女と関係を持つ。しかし彼女は動じない。

そのうちに杉浦は会社仲間からの借金だけでは返済が追いつかなくなり、会社の金を八百万円横領して逃げてしまった。金を持って逃げる途中、杉浦は楢江の部屋に立ち寄り、一晩泊めて欲しいと頼む。楢江は、土曜にも拘わらずスーツケースを持つ杉浦に不審をいだきつつも承諾する。そのうちに杉浦がビールを買いに行ってほしいと頼む。珍しく彼は自分の財布を出して楢江にお金を渡すのだが、中身には五千円札がギッシリと詰まっていた。楢江がビールを三本買って帰ると、杉浦はスーツケースを枕にして横になっていたのだが、スーツケースは頭を載せているにもかかわらずあまりへこんでいない。楢江は初めて状況が尋常でないことに気づく。

その後、杉浦は蒸発し、消息は杳として知れなかった。一方の楢江は相変わらず会社に出て、金貸しに精を出すのだが、心なしか周囲に対して穏やかになる。また、彼女は大型の観葉植物の鉢植えを自宅に買い集め、会社で風呂をすませるようになる。そのうちに、どこから資金を得たのか、楢江は中央線沿線に庭付きの一戸建て住宅を一千万円で購入する。そして自分の庭に花壇と畑を作った。その土はわざわざ木箱に詰めてアパートから運び込んだものを使った。その後、花や野菜たちは周囲の人達が感心するほど見事に成長する。栽培のコツを聞かれた楢江は、土に肥料を充分にしみ込ませることだと答える。どうやら彼女が使った土には「動物の脂」がたっぷりとしみ込んでいたようだ。

その年の暮れに、彼女の住宅から1キロほど離れた雑木林で男性の白骨死体が発見されたが、身元はわからず、犯人も捕まらなかった。



2024年9月5日木曜日

「青のある断層」(松本清張著、光文社文庫)を読んで(清張大好き!)

「青のある断層」(光文社文庫、松本清張短編全集、2巻収蔵)は、松本清張の短編の中で一番好きな作品かもしれません。方々の解説では、この作品は画家がネタに困って素人の絵をパクった話として紹介されることが多いのですが、他の誰も価値を認めなかった素人画家の作品の中に含まれる独特のエスプリを見通した、一流の画商と画家の見る目の確かさ、優れた芸術のセンスが良く表されると思います。私はちょっとだけ音楽をやっていた(中学と高校が吹奏楽部、大学はオーケストラ)のですが、残念ながら音楽のセンスが全然なかったので、センスのある人を見ると羨ましかったです。私から見ると、優れたセンスのある人は私がとても見通せない、確固たる「何か」を実物のような感覚で見ていたように思います。その感じが、この作品に登場する画商と画家とのやり取りでリアリティを持って描かれています。

松本清張の作品、特に短編は油断すると最後の数行で急に登場人物が殺されて白骨になったりするショッキングな作品も多いのですが、この作品は登場人物が最後まで誰も死なないので安心です。


あらすじ(ネタバレ注意):

畑中良夫は山口の萩から東京に出てきた素人画家で、バーの女給をしている妻の津奈子に生活費を稼いでもらって日々好きな絵を描いている。ある時、自分の絵を見てもらおうと銀座の一等地に画廊を構える画商・奥野の下を訪ねる。普段は素人画家はおろか若手の画家も容易には相手にしない奥野だったが、ふとした事から畑中の絵を見ることになる。思った通り畑中の絵は中学生の自由画とのいうべき酷い絵なのだが、そこに「何か」を感じた奥野は絵を買い取る。

奥野には、姉川滝二という長年に渡り公私ともに支え続けた盟友ともいえる画家がいた。今でこそ姉川は画壇も注目する画家であるのだが、生来が寡作で現在も筆が進まず奥伊豆の温泉地、舩原に引きこもって懊悩の日々を送っていた。奥野はそこへ出向いて姉川に畑中の絵を見せる。姉川は畑中の絵に潜む「何か」から強いインスピレーションを受けて自分の作品に取り入れる。

一方の畑中は一流の画商から自分の絵を買い取ってもらえて有頂天になるのだが、周囲の画家仲間は不思議でならない。畑中も徐々に不安になり、他の画家に私淑して絵を学ぶ決心をする。ところが技法を学び自分でも絵が上達したと思った途端、奥野画廊から絵を買い取ってもらえなくなる。

姉川は畑中の絵からインスピレーションを受けて以降、旺盛な創作活動を再開する。彼の傍らには奥野から届けられた畑中の絵の数々が積んであった。奥野は姉川の下を訪れ、彼の生気に満ちた目を見て一切を満足する。そして二人で最後に畑中から買い取った絵を眺め、これまで絵の中にあった「何か」が技法の上達によって失われたことを語り合う。

絵が売れなくなった畑中は生活が苦しくなり、津奈子を連れて故郷の萩に帰る決心をする。東京での最後の思い出にと、夫婦で伊豆旅行に出かけ、舩原の宿に泊まる。その宿は奇しくも姉川が創作に苦しんで引きこもった温泉宿だった。畑中は客室で新聞の美術欄に書かれた姉川の新作「青のある断層」の記事を読みながら、姉川と同じ宿に泊まったことを今後の一生の自慢にするだろうと思いを馳せて物語は閉じる。




2024年9月4日水曜日

三代目・古今亭志ん朝の「強情灸(ごうじょうきゅう)」を聞きながら

 私は桂文楽の襲名披露公演の時に演じられたものをよく聞いています。ストーリーとしてはとても単純で時間も短いのですが、テンポがよくって楽しいです。調べて驚いたのですが、噺に出てくる峯の灸というのは、今でも横浜の護念寺で受けられるそうです。落語の世界がリアルタイムで体験できるというのは凄いですね。

あらすじ:登場人物は2人の江戸っ子。二人とも、とても負けず嫌い。片方の男がとても熱いという峯の灸(横浜市磯子区にある護念寺で行われていた灸)を据えてきたと自慢話を始める。曰く、1つでも熱い灸を体の片側16、両側で32個いっぺんに火をつけて耐えてきたという。それを聞いたもう片方は悔しくて、袋一杯の百草を腕にのせて炭火で火をつけ涼しい顔をしてみせる。しかし徐々に熱さが伝わってきて、やせ我慢がはじまる。石川五右衛門が釜茹に遭いながらも辞世の句を残したというのだが、「石川や浜の真砂は尽きぬとも我泣きぬれてカニと戯る」と錯乱したようなことを言う。続けて、八百屋お七は火あぶりの刑にあっても泣き言一つ言わなかった、というのだがついに耐えられなくなってしまった。百草を払い落して、一言。

「オレは熱くなかったが、五右衛門は熱かったろう」

2024年9月3日火曜日

三代目・古今亭志ん朝の「そば清(そばせい)」を聞きながら

私が聞いているバージョンには、噺のマクラに父親である五代目古今亭志ん生にお寿司屋さんに連れて行ってもらった話や、兄の十代目金原亭馬生と食事をしたエピソードなどが出てきます。興味深いと共に、やっぱり凄いサラブレットなのだと再認識します。


あらすじ:

世の中が呑気な時分には、天丼幾つ食えるとか他愛のないことで賭け事をよくしたそうです。中でも、蕎麦を何枚食べられるかを賭ける、蕎麦賭けが良く行われたそうです。当時のそばは、今のそばよりも一人前の量が少なかったんだそうです。それでも自分の背丈まで積んだせいろを食べるのは大したもので、そういう人を俗にそばっくいと言ったんだそうです。(江戸時代のそばは十割そばで切れやすく、せいろで蒸して食べていたそうです。)

ある蕎麦屋に毎日10枚ずつ盛りそばを食べにくる客がいる。周りの人が感心して蕎麦賭けを客に持ち掛ける。最初は20枚でどうだというが、客はとても無理だと言うので、15枚で1分(15枚食べられたら1分もらい、食べられなければ1分払う。1分金は1両の四分の一)で賭けが成立する。客は心配だと言いながらも15枚をペロリと平らげて、1分金をせしめて店を出る。お金を取られた方は悔しくて、次にやる時は20枚にしようと打ち合わせる。

次の日、同じ客が蕎麦屋にやってくる。昨日は家に帰ってから医者を呼んだりして大変だったと言ってくるが、昨日負けた方は20枚で2分で再度賭けを持ち掛ける。客はまた渋るものの結局は承諾して、ペロリと平らげて2分を受け取って出ていく。また取られた方は悔しくて、明日は30枚で1両だと息巻く。しかしその賭けもあっさりと取られてしまう。散々お金を取られた方が悔しがっていると、ニヤニヤ笑って見ている奴がいる。なぜ笑っているのか憤慨すると、あの客が誰か知らないのかと聞いてくる。その人曰く、あの客は清兵衛(せいべい)さんと言って、蕎麦賭けでは有名な人で、人呼んでお蕎麦の清さん、詰めてそば清と呼ばれていて、一時に盛りを50枚も食べられるのだという。しかも蕎麦賭けが得意で、蕎麦賭けで家を二軒立てたほどの実力者だと言う。何とか勝つ方法は無いかと聞くと、60枚で3両なら勝ち目があるのではないかと言ってくる。そこで次の日、清さんにその賭けを持ち掛けるのだが、日を改めて欲しいと逃げられてしまう。

そのうちに清さんが商売用で信州に行き、山道で迷ってしまう。すると目の前に猟師さんが歩いているのが見えたので、しめたと思い付いて行こうとすると、突然脇の茂みから大きなウワバミ(大蛇)が現れ、猟師を丸呑みにしてしまった。ウワバミは人を1人飲み込んで苦しそうにのたうち回る。清さんはどうなるか興味津々で見ていると、ウワバミが赤い草が生えている茂みまで行き、草を舐めるとたちまちお腹がこなれてしまった。清さんは蕎麦賭けで苦しい時に、この赤い草を使おうと思い、積んで江戸にもどった。

ふたたび蕎麦屋に出向くと、常連から70枚で5両の賭けを持ち掛けられる。清さんがあっさりと応じて賭けがスタートする。清さんは凄い勢いで食べ始めて、次々と平らげるのだが、60枚目を越した辺りから段々遅くなり、あと数枚を残して手が止まってしまった。清さんも頑張ろうとするのだがはどうしても入らない。困った清兵衛さんはちょっと風に当たらせてくれと頼む。動けない清さんを皆で縁側に出してやって、障子を閉めてもらう。そこでそばをこなすために信州で手に入れた赤い葉を舐め始める。

しばらくして店にいた連中は清さんを呼ぶのだが、返事が無い。不審に思って障子を開けると、清さんはおらず、代わりにそばが羽織を着て座っていた。実は赤い草は人間を溶かす薬で、清兵衛さんは消化を助ける薬だと思って舐めてしまい、体が溶けてそばが羽織を着ていた、という噺。

どなた様も御腹を立てませんように。


2024年9月1日日曜日

三代目・古今亭志ん朝の「二番煎じ(にばんせんじ)」を聞きながら

寒い冬の日に聞きたくなる噺です。一緒に暖かいお鍋をつついているような気分になります。夜回りしている間の火の用心の掛け声の調子だったり、見事なものです。

あらすじ:

冬になると江戸は良く大火に見舞われ、多くの損害を被った。このため各町内にも火の番をする番小屋があり、番太郎、詰めて番太と呼ばれる人たちが見張りをしていた。この番太になろうと言う人は血気盛んな若者などではなく、血気なんてものは何十年も前に無くしてしまったようなお年寄りが多かった。また道楽がもとで人生やり過ごししてしまった人も多かった。そんな感じなので誠に頼りなく、ボヤで済んだものを番太が寝過ごしたために大火にしてしまった、などと言う事もあったそうだ。そこで、町内の旦那連中が集まり皆で夜回りをすることがあり、さらにそれを見回る町役人もいた。

今夜も町内の旦那連中が集まって火の回りをするのだが、月番が二手に分けて順繰りに夜回りをしたらどうかと提案する。皆が了承したので、月番と伊勢屋さん、黒川先生、辰さん、宗助さんの五人が一の組として先に夜回りに出かける。

提灯を持った宗助さんを先頭にして、伊勢屋さんが鳴子、黒川先生が拍子木、辰さんが金棒を持ってぞろぞろと回りだす。皆はあまりに寒いので手を懐に入れたままなので、横着して大きな音が出ない。月番が火の用心の掛け声を出すように言うが、宗助さんはぶっきらぼう、黒川先生は謡調、伊勢屋さんは清元調の独特の火の用心になってしまう。最後に辰さんの出番だが、流石に吉原の頭のところで火の番をやっていただけあって、「火の用心、さっしゃりやしょう」と見事な調子。掛け声の最後の方を少し揺らして、北風に声が震える演出まで施す始末。

火の回りから番小屋に戻った一の組の面々。体が冷え切ってしまったので、暖を取ろうと皆で火鉢を囲んでいると、黒川先生が出掛けに娘に持たされたと言って、ふくべに入れた酒を出してきた。月番は、ふくべに酒を入れて持ってくるとは何事だと叱り、土瓶に移し替えるように宗助さんに命じる。一同が訝しく思っていると、ふくべから出る酒を飲むのは不味いが土瓶から出る煎じ薬なら問題ないと答える。そして、実は自分もこうして持ってきていると懐から酒を出す。さらに月番が、イノシシの肉にネギと味噌を添えて鍋まで取り出した。こうして猪鍋を囲んで、酒盛りが始まる。皆酔いが回って上機嫌になり、都々逸の回しっこでもやろうと言い出す。

そこへ表から「ばん、ばん」という音がする。猪鍋のにおいを嗅ぎつけた犬の仕業と思い、「しっ、しっ」と叫んで追い返そうとする。しかし尚も「番、番、番の者はおらんのか」と声がかかり、町役人が見回りにきたことが判明する。慌てる一同。鍋は股の下に隠し、宴の後を綺麗にして町役人を番小屋へ入れる。

町役人は「しっ、しっ」と言っていたのは何かと聞く。月番は宗助さんが「寒いので火だ、火だ」と言ったと弁解する。さらに町役人は「何か土瓶のようなものを隠したが、あれは何か」と聞く。「あれは煎じ薬だ」と答えると、自分も風邪気味なので一杯もらいたいと役人がせがむ。この煎じ薬は町人にしか効かないと悪あがきをするのだが、結局飲まれてしまう。役人に酒を飲ませると、結構な煎じ薬だと上機嫌。さらに何か鍋のようなものを隠したのではないかと言い、猪鍋を出させる。これは何かと問うので、月番は煎じ薬の口直しでございます、と答える。調子に乗った役人は口直しが良いと煎じ薬も進むと好きなだけ飲み食い始める。旦那連中はお酒を全部役人に飲まれてしまうと思い、月番に断ってしまえと詰め寄る。月番が町役人に煎じ薬はもう一滴もないと言うと、町役人が返す。

「そうか。では拙者一回りして参る。その間に二番を煎じておけ」

三代目・古今亭志ん朝の「高田馬場(たかだのばば)」を聞きながら

この噺は、最後に大どんでん返しがあるので好きです。世の中には色々なことを商売にする人がいるのだと、お話の中ながら感心します。自分もその逞しさを見習いたいものです。噺の途中で、ガマの油売りの口上が出てくるのですが、志ん朝の語りがまさに立て板に水といった感じで本当に見事なものでした。


あらすじ:

浅草観音の境内は今日も行商人たちでごった返している。その中で、若い女が鎖鎌の芸を見せて座を沸かせている。続いて若い男が「さあさあお立会い。御用とお急ぎで無かったらゆっくり聞いておいで」とガマの油売りの口上を始める。そして、ガマの油の膏薬はどんな刀傷にも効くと実演を交えながら説明していると、歳の頃、五十過ぎの侍が現れ、「本当にどんな傷にも効くのか」と聞いてくる。男は「どのような傷か、傷所を拝見したい」というと、侍は渋々背中の古傷をみせる。そして傷にまつわる懺悔話を始める。曰く、侍は岩淵伝内(いわぶちでんない)と言い、今から二十年前、さる福島の藩にいたのだが、部下の木村惣右衛門(きむらそうえもん)の妻に横恋慕してしまい、何とかなびかせようと日々言い寄っていた。そして惣右衛門が留守の時を見計らって、妻を手籠めにしようと画策するが、惣右衛門に見つかってしまう。惣右衛門は怒り心頭で伝内を罵倒するのだが、伝内は逆に惣右衛門を抜き打ちで切り捨ててしまった。伝内は後悔して逃げ出そうとすると、乳飲み子を抱えた惣右衛門の妻が半狂乱で追いかけてくる。その際に投げた手裏剣が背中にあたり、その傷が今でも痛むのだという。

その話を聞いて、若い男の顔色が変わった。一尺ばかり飛びのくと、「やあ、珍しや岩淵伝内!かく言う某は、汝に討たれし木村惣右衛門が一子、惣之助。これに控えしは姉のあや。いざ尋常に勝負せい!」と息巻く。伝内は大いに驚くも観念し、「観音様の境内を血で汚すわけにはいかない。明日巳の刻、高田馬場で果たしあいをしよう」と申し出る。境内は騒然とするのだが、姉弟は伝内の申し出を受け入れる。

噂が噂を呼び、翌日の高田馬場は見物人で黒山の人だかりだった。果し合いまで時間を潰そうと周りの茶屋もすべて大混雑である。皆で見物に来ていた大工連中も酒を飲んで時間を潰しているのだが、そのうちに巳の刻を過ぎてしまった。しかし何も始まる気配がない。不思議に思っていると、同じ店に五十過ぎの侍が酒をしこたま飲んでいる。彼こそが昨日の仇討ちの侍、伝内ではないかと気づき、仇討ちがどうなったかと聞く。

すると伝内は悪びれもせずに、今日は止めだと告げる。それではあの姉弟が許さないだろうと言うと、あれは拙者の娘と倅で今頃は洗濯でもしているだろうと言う。何だってそんな嘘をつくのかと聞くと、伝内がこれが自分たちの商売だと言って一言。

「拙者は仇討ち屋だ。仇討ちがあると聞けば大勢の人が集まる。さすれば茶屋が儲かる。その上がりの二割をもらってこうして楽に暮らしておる」

三代目・古今亭志ん朝の「居残り佐平次(いのこりさへいじ)」を聞きながら

噺のマクラには、この噺のサゲである「おこわ」の説明から入ります。 

江戸時代の川柳集である柳多留(やなぎだる)には、「四、五両のおこわを息子夕べ食い」とある。おこわと言うのはお強飯です。これが四、五両というのですから非常に高い。実は、「おこわ」というのは美人局(つつもたせ)の隠語になっているのだそうです。どうして美人局がおこわのかと言うと、「おー怖わ」という所が由来になっているのだそうです。


あらすじ:

遊びには上中下の区別があり、廓に足を踏み入れないのが上客であるという。「上は来ず、中は昼来て昼帰り、下は夜来て朝帰り、そのまた下下は居続けをし、そのまた下下は居残りをする」。これらの上中下は遊女の方が決めたもので、彼女たちは長居する客をとにかく嫌がった。だから居残りなんて、とても迷惑な行為だった。

この噺の主人公、佐平次(さへいじ)が友達3人を遊びに行こうと誘う。「なか(吉原)」かと一人が問うと、吉原は飽きたから品川宿の遊郭(通称:みなみ)まで足を伸ばそうと言う。さらに、芸者も揚げて一晩景気よくどんちゃん騒いで飲み食いして、一人一両ずつ俺に渡せと言う。友人は、品川で一晩過ごすだけでも一両では心もとないのに、飲み食いまでしたら無理だと言うのだが、佐平次は大丈夫だと取り合わない。

品川につくと、良さそうな店を見つけて、散々遊びつくして一夜を過ごす。おしけとなる前に佐平次は3人を集めて一両ずつ出させる。そして、3両に自分の1両たして4両を1人に渡して、この金を自分の母に渡してほしい、明日は朝早く帰るように告げる。理由を聞くと、自分は居残って場を取り繕い、そのうち上手く抜け出るつもりだと言う。

あくる朝早く、3人を帰して、佐平次は一人遅くまで寝ている。店の若い衆が起こしに来ると、巧みに勘定の催促をかわして朝湯に入ったり、迎え酒をしたり好き放題振る舞う。夕方まで居続けるので、若い衆が催促に出向くと、実は先に帰った3人が本日再び店に来るのを待っているという。若い衆は納得して戻っていくが、その晩結局3人は来ない。次の日も同様の手口で居続けようとするが、流石に若い衆は騙されない。厳しく勘定の催促をしたところ、金は無いと佐平次が言う。では友人にお金を持ってこさせろと言うと、知り合ったばかりで連絡先を知らないという。若い衆たちは怒り心頭で佐平次を取り囲むのだが、佐平次は動じない。おとなしく布団部屋に引っ込んで居残りとなる。

夜になると遊郭は忙しくなり、誰も佐平次に構っていられない。すると佐平次は布団部屋を抜け出し、店の手が行き届いていないお客を回って幇間のようなことを始める。これがとても巧みでお客の間で評判になり、ご指名がかかったり、御祝儀をいただいたり、本職の若い衆顔負けの活躍をする。するともらいの少なくなった若い衆たちが不満になり、佐平次を追い出してほしいと主人に訴える。

主人は初めて佐平次に対面し、勘定は追々で良いので家に帰るように勧める。佐平次は主人に感謝しつつ、実は自分は生まれついての悪党で前科があり、この店から出られないと嘘をつく。驚いた主人は、罪人をかくまったことがばれたら店はお取り潰しになるから頼むから出て行ってくれとうろたえる。主人は佐平次に言われるままに旅費から着物(結城の紬)、足袋まで差し出したので、佐平次はようやく出ていく。

佐平次が店を出たあと、主人は佐平次がちゃんと帰ったか不安になり、若い衆に見てくるように命じる。若い衆は外に出て、往来を堂々と鼻歌混じりに歩いている佐平次を見つけて、大丈夫かと聞くと、「自分はなか(吉原)でもこつ(小塚原)でも居残りを商売としている佐平次というものだ。品川ではやった事が無かったが、とても上手く行った」と上機嫌でうそぶく。若い衆は店に戻って、一部始終を主人に告げると、

「ちくしょう!人をおこわにかけやがって」と主人が息巻く。それを聞いて若い衆が一言。

「へぇ、旦那の頭が胡麻塩ですから」